アリババ(BABA) 企業分析

中華の時代

アリババ(BABA,阿里巴巴集団)は中国最大手のEコマース企業,ITコングロマリットです。Eコマース大手にはJD.com(JD,京東)という売上高最大のネットショッピング企業もありますが,アリババの方がより広範なサービスを提供しています。

中国でIT銘柄の御三家と言えば「検索エンジン大手の百度(バイドゥ, BIDU)」,「アリババ(BABA)」,「SNSとゲームの世界最大企業である騰訊(テンセント)」ですが,ここにさらに微博(ウェイボー, WB)などが加わり,シリコンバレーに勝るとも劣らないオンライン世界が構築されつつあります。

すでに世界のインターネット人口は,1位が中国,2位がインド,3位が米国,4位がブラジル,5位が日本という順番になっており,首位中国とインドだけで11億人ものオンライン人口がいます。すなわち,中国やインドの市場を制覇することのできたIT企業のみが世界の覇者になれる時代になっており,これからはシリコンバレーのベンチャーが逆立ちしても,上海や広州のベンチャーにアクティブ・ユーザー獲得数で叶わない時代が来るとみます。

世界最大のオンライン人口7億人の中国と,年率30%で成長するオンライン人口4億人のインド(出典: ここ)

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実際,中国系IT企業の米国上陸が凄まじい勢いで進んでおり,これまでフェイスブック(FB)やグーグル(GOOG)といった一部の米国寡占企業に集中してきた富が,中国系企業へ徐々に流れていく時代が来るでしょう。

その急先鋒がまさにアリババであり,テンセントです。これらは中国独自に発達したガラパゴス企業という観点で捉えるべきではなく,世界最大・最速で成長する厳しい中国市場で勝ち残ってきた覇者と見るべきです。中国という市場での戦いにある程度決着がつき,満を辞して世界に羽ばたこうとしている時期です。

今後は,ITやスマートフォンの世界は米中激突という凄まじい火花の中で急速に成長し,現在のグーグルやフェイスブックはビジネスモデルの変化を迫られることになるでしょう。2017年現在はオンライン広告の半分以上のシェアをグーグル,フェイスブックの2社が占めており寡占状態ですが,これも近い将来徐々にマージンが削られていくでしょう。

特にモバイル・ペイメントの分野では中国企業の方が顧客獲得という面で成功しており,アップル・ペイ,チェース・ペイやウォルマート・ペイといった米国の名だたる企業を一気に出し抜く可能性も高いと見ています。

こうした状況を踏まえるとIT業界からますます目が離せない(面白すぎて株を手放せない)という投資家にとっては痛し痒しな時代になるでしょう。

チャート

2017年5月7日に上場以来の新高値を更新し破竹の勢いです。競合のテンセントもアリババ同様に新高値を更新し続けており,中国最強の2社は今後とも最強であり続けると考えた方が安全です。絶対に空売りしたくない銘柄ですね。

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直近では2017年2月にブレイクアウトし,その後は大きな調整がなく安心していられる値動きです。baba_20170512_daily

企業ホームページ

Alibaba

セクター

セクター: 情報技術
業種 : インターネットソフトウェア・サービス

企業概要

アリババは1999年創業の企業間オンライン商取引マッチングサイト,alibaba.comをはじめとする多数のITサービスを運営するコングロマリットです。中国最大のC2Cマーケットプレイス「淘宝網 (Taobao.com)」や中国最大のB2Cオンラインショッピングモール「天猫(tmall.com)」,クラウドコンピューティングの「阿里雲(Aliyun.com)」,オンラインペイメントの「支付宝(alipay.com)」など中国最大と名のつくサービスをことごとく手がけています。(アリババが参入できていないのは,やはりSNS分野でしょう。SNSに関してはQQやWeChatなどを運営するテンセントが圧倒的な強さを誇っており,両社は様々な市場で競合しています。

アリババは2014年にNYSEに上場しました。奇しくもNASDAQにJD.com(JD)が上場したのと同じ年です。中国企業の米国IPOによる資金獲得が定跡化しつつあり,これからも続々と中国の大手企業が上場して来るでしょう。

経営陣

CEO:ジャック・マー

規模

従業員数:46,819名

近況

アリババのグループの中でももっとも勢いがあるのが,Alipay(支付宝)と呼ばれる決済サービスです。これはスマートフォンに個人IDに相当するバーコードを表示するもので,コンビニなど至る所で使用できます。

このサービスの成長ぶりは本当にたまげるほど素晴らしく,ここ1年間で誰もが使用するサービスにまで上り詰めました。競合であるテンセントのWeChatPayもまた普及しており,アリババのAlipayとテンセントのWeChatPayの双方のアプリを使用している中国人も多いです。この両社で中国国内の9割のモバイル決済シェアを占めています。

「支」のアイコンでおなじみのAliPayが55.4%の圧倒的なシェア。2位はテンセントのTenPay/WeChatPay(財付通)

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特に大都市圏では当たり前のようにどこでも使えるサービスになっており,VISA(V)などのクレジットサービスと提携していることから安心感と利便性の両方を兼ね備えた素晴らしい決済サービスです。当然ながら,アリババ系列のtmall.comなどでもAliPayで支払うのは当たり前です。

わずか2社(アリババとテンセント)で一気に中国がキャッシュレス社会に移行したという事実には驚愕しました。それもここ1年間の普及率が圧倒的だったからです。(わずか1年でAliPay, WeChatPayの支払額が3倍の628兆円へ!!!)

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AliPayの今後の狙いは海外です。

直近でも様々な海外展開のニュースが飛び込んできており,5月9日には以下のように米国進出が決まりました。米国側の提携企業はファースト・データ(FDC)です。ファースト・データ(FDC)とアリババの提携は2016年10月のプレスリリースですでに明らかになっていましたが,具体的な進出が明らかになったのは今回のニュースが初めてです。当面は,銀聯カードが海外で使えるのと同様に,AliPay,WeChatPayも中国人の爆買い用途で使うというのが主流なのでしょうが,私の読みではそれ以上に普及すると思っています。

中国内モバイル決済サービス1位のアリペイと2位のウィーチャットペイが中国の若い顧客層に支えられて米国市場の攻略に出た。米国モバイル決済市場の強者であるアップルペイに挑戦状を突きつけた。

9日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アリペイを運営するアリババグループ系列社のアント・ファイナンシャルは米決済サービス会社のファースト・データと契約を結んだ。これを受け、米国内400万店以上の商店でアリペイを利用して決済できるようになった。アリペイで決済できる米国内加盟店の規模はアップルペイで決済できる店舗数(450万店)と同水準だ。これに先立ち、2月にはウィーチャットペイを運営するテンセントが米シリコンバレーのスタートアップであるCitconと手を握って米国市場への進出を宣言した。

米国に進出したとはいえ、アリペイとウィーチャットペイの1次的なターゲットは米国人ではない。急速に増加している中国人観光客と留学生など海外活動の多い中国人をつかまえるという目標だ。米国政府によると、2015年米国を訪問した中国人は260万人だった。2021年には中国人観光客数が600万人を超えるものと、米国旅行協会は見通している。国連世界観光機関によると、昨年の中国人観光客は海外で2600億ドル(約29兆6800億円)を使い、中国の観光支出は2004年以降毎年2桁成長を遂げている。この市場をつかまえるためにアリペイとウィーチャットペイが海外進出に本腰を入れているわけだ。まずはグローバル化というよりは中国人を狙った海外便宜拡張の色合いが強い。

アリペイは約4億人が利用している中国最大のモバイル決済システムだ。ウィーチャットペイと共に中国内モバイル決済市場の90%を占めている昨年を基準に中国内でのモバイル決済額は38兆人民元(約628兆円)で、前年より3倍増加した。アリペイは約70カ国、ウィーチャットペイは15カ国でサービスを提供している。

一方、アップルペイも米国を越えて海外サービスの拡張を推進している。台湾・アイルランドに発売し、今まで15カ国に進出している。

セグメント

売上高の90%は依然としてEコマースです。上でも紹介したAliPayは爆発的に普及し4.5億人が利用していますが,まだ収益の軸には育っていません。決済サービスとしてのひたすらシェアを拡大する成長期ということですね。

また,Eコマースの中でも大半が中国本土での売上であり,海外売上はまだまだ小さいです。

収益性

アリババの強みは何と言ってもその収益性にあります。

競合のJD.com(JD)は売上は大きいですが,利益が出ていないのに対し,アリババは利益率が高くキャッシュフローも潤沢です。バランスシートも盤石で欠点が無い企業と言うことができます。

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機関投資家

2016年より機関投資家が大量にアリババを買い集めています。これは2016年8月に発表された四半期決算がポジティブサプライズだったことから好感されているためです。このモメンタムは全く衰えておらず,今後も機関投資家のコア保有銘柄であり続けるでしょう。成長が鈍化しない限りアキュムレーションは続くと見て良いと思います。

株価のチャートにもこの動きは如実に出ています。

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