バフェット流企業分析シートマニュアル① 出来高分析

バフェット流企業分析シートでは,多角的な観点で企業・株価を分析できるようにしています。少しずつ実例をあげて紹介していきます。
まず初回はテクニカル分析の一種であるVPA分析(ボリューム・プライス・アナリシス)について解説します。

いきなり企業分析ではなくチャートの読み方の紹介なのは,バリュエーション(Valuation)の重要性を忘れて欲しくないためです。

いつ買っても同じなのはジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のような大型安定銘柄ぐらいであり,それ以外の銘柄を狙うのであればチャート分析は大いに活用する価値があります。

その中で,VPA分析はInvestShiftさんも日常的にお使いの出来高分析法であり,米国株ブログ村の中でもポピュラーな技法の一つです。

VPA分析(ボリューム・プライス・アナリシス Volume Price Analysis)

まず,VPA分析法では機関投資家がどの価格帯で玉集めを行いどの価格帯で売り抜けを狙っているかを読み取ることができます。(詳細はアナ・クーリングの著書『出来高・価格分析の完全ガイド』

機関投資家の仕事は,大量の資金を投下して値幅を取ることです。そのためには,株価を安値に抑え込んで保ち合いの中で玉集めを行い,玉集めが終わったらあとは高値に持ち上げて,今度は大量に売りさばかないといけないのです。

この「機関投資家の本性である玉集め(Accumulatio)と売り抜け(Distribution)の二つの行動」が現れやすいのが出来高です。出来高は市場で売買する限り隠せませんので,一番参考になる指標です。

(参考までですが,ウィリアム・オニールは出来高とチャート形状,さらに四半期決算の成長率を組み合わせてCANSLIMというチャート読解法を編み出しましたが,これもまた「出来高・機関投資家保有比率から機関投資家の動きを読む」という点に関してはVPA分析と共通点があります。またの機会に。)

実践編 ペプシコ(PEP)

まずは優良企業ペプシコ(PEP)の25年チャートをご覧ください。

以下のチャートの左端に出ている棒グラフが「ボリューム・アット・プライス(ある価格帯での出来高)」です。

VPA_analysis

棒グラフの長さが最大である価格帯は,最も激しく売買が行われた価格帯ということを意味しています。売買というのは株主の入れ替わりを意味します。

ペプシコの場合は,$60前後価格帯で長らく保ち合いが続き,上放れしましたので$60の水準は今後二度と割れることがない盤石の底値となっています。

よほどの不祥事などで$60の株価を割れた場合は,短期投資家であれば空売り(後述しますが$40〜$50の価格帯の出来高が薄いためそこを狙う)を,長期投資家であればバーゲンハンティングに動いて良い価格帯ということになります。

このようにVPA分析では,どの価格帯が天井か,床かを視覚的に理解するためにこのようなチャートを使います。

実践編 IBM

何事も実践あるのみです。まずはバフェット流分析シートでお好きなティッカーシンボルを入れて試してみてください。25年,5年,半年のチャートでそれぞれボリューム・アット・プライスの棒グラフが出てくると思います。

わかりやすい例でインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)のチャートを見てみましょう。今度は5年チャートで見てみます。

VPA_IBM

2016年1月にはFRBの利上げによるショックでIBMの株価が叩き売られました。この時の下落ペースは比較的早かったのですが,ボリューム・アット・プライスの棒グラフに着目すると,驚くほど出来高が少ないことに気づくと思います。

これはIBMの株価の上昇期(2010年〜2012年ごろ)にあまり出来高をこなさずにモメンタムでふらふらと株価が上がってしまったために,$100〜$130あたりが出来高の真空地帯となっていたことで起きた現象です。

こうした真空地帯は,少ない出来高で株価が大きな下落や上昇をしやすい価格帯であり,スイングトレードに向きます。

つまり,「$130の防衛ラインを抜けたら持ち株を一旦売って,$112の底での反発を確認したら$112〜$120の価格帯で全力で買いに行く」ことで値幅を取ることができるのです。

もちろん,ぼんやりチャートを眺めていては,損切りが遅れて売った時が大底という最悪のパターンになりかねないので,普段からバフェットのように短期間で投資判断を下す訓練をしておく必要があります。損切りが1日でも遅れれば含み損が大きく膨らみ,底値買いが1日でも遅れれば儲けのチャンスを失うことになります。

ベン・グレアムの言う安全マージンが確保できる価格帯で,かつ値動きのパターン(今回のようなV字回復チャート)があらかじめ分かっていて初めて,自信を持ってトレードできるでしょう

こうした決断力も将棋の早指しと同じで慣れだと思います。日常的にVPA分析で色々な相場に慣れておけば,バーゲンハンティングやスイングトレードをする場合に決断の後押しとなってくれることでしょう。

様々な銘柄で値動きのパターンをご確認ください。

次回以降,ファンダメンタル分析の紹介に入っていきます。

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