JPモルガン・チェース・ゴールド・ボールト

JPMはゴールド・シルバーなどの価格フィキシングを行うブリオン・バンク(Bullion Banks)の一つです。特にシルバーの取引においては過去最大規模の保有残高を持っており,シルバー・コマーシャルズ(実需筋)の最大手です。ブリオン・バンクにはJPMの他にHSBCやバークレイズ,ソシエテ・ジェネラル,スコシア・モカッタなどがあり,それぞれ金地金・金貨などの取引・保管業務を行なっています。JPMはロンドンとニューヨークにそれぞれ巨大な金庫(ゴールド・シルバー保管庫)を保有しており,その他にチューリッヒ(スイス),シンガポール,ドバイ(アラブ首長国連邦)などにもあります。同様にHSBCなどの他行やBrink’sなどの貴金属取引業者などもこれらの拠点に金庫を構えています。

ロンドンやニューヨークの金庫(Gold Vault)は一生に一度は入ってみたい場所です。

中央銀行によるゴールドの購入時はこうしたブリオン・バンクを経由して行われるため,金庫に眠るゴールド・シルバーのオーナーは必ずしもJPMやBrink’sなどとは限りません。中央銀行が先物市場でゴールドを直接調達するわけにはいかないので,こうした貴金属業者から購入し,必要であれば中央銀行の金庫に移送します。一方,JPMなどのブリオン・バンクはゴールド・シルバーを必要とする顧客のために先物市場で売買を行い,必要とあればCOMEXから現物を移送してもらいます。この売買及び移送履歴はCME Groupのサイトで確認できます。

私たちがゴールドやシルバーを直接購入する場合は,田中貴金属や三菱マテリアルなどの貴金属業者から購入することになりますが,仮にETF($GLD, $SLV)などのPaper Gold, Paper Silverを購入した場合は異なります。ETFの流入した資金でBlackRockやVanguardなどがゴールド・シルバーを購入し,購入された現物はJPMやHSBCの金庫で保管されます。(BlackRockなどが直接現物を金庫を保有しているわけではありません。あくまでJPMの金庫に眠るゴールド・シルバーの「所有権」を保有しているだけです。)ゴールド・シルバーETFの手数料が高いのはこういった金庫の保管料も含んでいるためです。

BlackRockのiShares SLVなどはJPMを取引業者に指定しており,私たちがSLVを購入すればその分だけJPMの金庫にシルバーが積まれます。また,2017年後半から2018年初にかけてレイ・ダリオ率いるBridgewater AssociatesがゴールドETFの保有量を増やしています。こうした動きも金庫保管業者としてのJPMのシルバー・ゴールド保有残高に影響を与えます。

JPM Golden Opportunities

JPMによるシルバー市場への介入が始まったのは2008年のベア・スターンズ吸収合併以降だと言われており,シルバー価格が上がればショート(現物の裏付けがなくとも資金力に物を言わせて上値を抑える),下がればショートカバー,あるいはロングというやり方を続け,事実上先物市場最大のマニピュレーターにまで成長しました。他のブリオン・バンクや他の貴金属業者のシルバー保有残高が横ばいないし減少傾向にあるのに対して,JPMだけは圧倒的に買い越しが続いています。特に2011年以降が顕著で,2011年にはJPMのシルバー保有量は0でしたが,その後毎年買い増しを続け現在では史上最大規模の現物シルバー保有企業となりました。

貴金属市場は価格操作

ドイツ銀行やHSBC,スイス銀行の3行はフィキシング業務の中で価格操作をしたとしてCFTCから訴追されています。

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