ペプシコ(PEP) 企業分析

ペプシコ(PEP)は44年連続増配の配当貴族です。

それにしても・・・ペプシコ(PEP)やコカコーラ(KO)といった日常的に目にする生活必需品ブランドは,アニュアルレポートを見てもいつも代わり映えがせず,スパイスが足りません。投資家を投資家たらしめるのは新しい発見であったり,新製品であったりするわけですが,気がつくとほかのワクワクする銘柄に吸い寄せられてしまいます。ヒット商品は10年に1回程度しか出てこない,あとはひたすらコストダウンに努めながら同じものを作って店舗に並べるだけ・・・。

つまらんという理由でこれら優良銘柄を敬遠するのは長期投資家としてはだめなので,気合いを入れて精査してみようと思います。

企業ホームページ

PepsiCo

セクター

生活必需品セクター(飲料)

企業状況

スナック菓子と清涼飲料水メーカーで,飲料水ではコカコーラ(KO)に次いで2位の規模です。売り上げ構成はスナック菓子と清涼飲料水がほぼ半々の構成であり,スナック菓子の比率もかなり高いのが特徴です。

ペプシコは22種類もの$1B(1000億円)ブランドを抱えており,ブランド・ポートフォリオとしては極めて安定しています。

炭酸飲料 炭酸抜き飲料 スナック菓子
Pepsi Gatorade(2001買収,$13.4B)
*元々Quakerの傘下
Lay’s(1965, Frito-Layと合併)
Diet Pepsi Tropicana(1998買収,$3.3B) Walkers
Pepsi Max Aquafina Doritos(Disneyから獲得)
Mountain Dew Lipton(1991, Uniliverと提携) Ruffles
Diet Mountain Dew Brisk(Uniliverと提携) Fritos
7 Up(1986, Phillip Morrisから北米での販売権獲得) Starbucks RTD Beverages
(1994, Starbucksと提携)
Cheetos
Sierra Mist Tostitos
Mirinda(1970買収) Quaker(2001買収,$13.4B)

各種企業との提携にも積極的であり,スターバックス(SBUX)やユニリーバ(UN)やサントリー,キリンビバレッジなどと販売提携などを行っています。

この業態の特徴として,破壊的な新製品は登場する見込みがありません。むしろ,何十年もかけてブランドを一つずつ育てていくことが主な戦略です。この中には広告宣伝やコストダウンが含まれます。

次に重要なのはM&Aで有力なブランドを買収することです。上記の表の括弧の中に記載しているのは,いかにしてペプシコがこれらの1000億円ブランドを獲得し,育ててきたかです。かなり高値で買収したケースもありますが,結果的にこれらの買収によって獲得した製品群をうまくプロモーションしたペプシコの手腕が良かったと言えるでしょう。

なかなか消費者に受け入れられる新製品を作るのは難しいことから,成長余地の大きいブランドを獲得し,ペプシコの持つ経営資源(広告宣伝費含む)を最大限に活かすというコンビネーションが求められます。投資家としての生活必需品セクターを見る場合のチェックポイントですね。

ちなみに,たばこ業界では食品セクターよりもすさまじいポートフォリオのやりとりをしています。フィリップ・モリス(PM)がナビスコ,さらにはクラフトフーヅなどの親会社だったように,事業としての見込みがあればどんどん獲得し,ポートフォリオを入れ替えます。また,たばこ銘柄同士でもレイノルズ・アメリカン(RAI)がロリラード買収と同時に自前のたばこブランドを売りに出したように野球選手の移籍を思わせるような戦力強化を行います。(半分は独占禁止法対策ですが)

食品業界とたばこ業界はこうしたポートフォリオの入れ替え合戦が見所です。

市場

先進国を中心に糖分の多い炭酸飲料が敬遠される傾向にありますが,その分,炭酸抜きの飲料が好まれています。早くからペプシコは炭酸抜き飲料を強化しており,ポートフォリオ的に消費者の嗜好の変化には対応できると思います。ユニリーバとの提携によるLipton(紅茶)の販売や,スターバックスとの提携によるコーヒー飲料の販売はその典型的なものと言えるでしょう。

事業セグメント

スナックが53%,飲料が47%を占めます。その他を占めるのはEveryday Nutritionです。

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地域別

ペプシコ(PEP)の売上は北米が66%を占めており,やや偏った印象を受けます。やはりコカコーラ(KO)の方が圧倒的なグローバルブランドとして浸透しているせいもあるのでしょう。コカコーラは北米が47%であり海外に広く販売チャネルを持っています。

この海外でのブランド力・販売力の欠如を補うのがパートナーシップ戦略ということになります。

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No.1戦略

一方で,ペプシコが強い5カ国においては,マーケティング強化や新製品投入などを積極的に行っており

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スーパーボウルのCMとしても高評価だったKickstartなどの新製品は日本ではほとんど知られていません。

pep-kickstart

収益構造

売上で見ると食品部門と飲料部門はトントンですが,営業利益で見るとFrito-Lay部門が全体の46%の利益を稼ぎ出しておりスナック菓子がペプシコの収益の柱であることが分かります。もちろん,飲料も営業利益の29%を稼いでいますが。逆に収益に寄与していないのがラテンアメリカです。売上の13%を占めていたながら営業赤字により全体の足を引っ張っています。

pep-revenue-segment

広告宣伝費・マーケティング費用

2015年の広告宣伝費用は$2.4B(売上の3.8%),マーケティング費用は$1.5B(売上の2.4%)でした。コカコーラが使っている莫大な広告宣伝費用($2.8B)と比べるとやや劣りますが,それでもものすごい金額です。

コストダウン

ペプシコは2015年〜2019年までの5年間で$5Bに上るコストダウンを達成するという目標を発表しています。具体的には商品のパッケージングプロセスの効率化や,在庫管理の改善と言った地道なものですが,これまでのところ順調に進んでいるようです。

飲料品・食品と言った価格競争が厳しいセクターではコストダウンは欠かせません。スターバック(SBUX),マクドナルド(MCD)などの企業はどこも成長速度が速くサプライチェーンの品質や効率が追いつかない問題が発生し,それを乗り越えてきました。

 

競合状況

なんと言ってもコカコーラ(KO)がライバル筆頭となります。

最近のマーケット状況

株価は高値を更新しています。

5年チャート

pep-5yr-chart-20160415

日足チャート

pep-daily-chart-20160415

先四半期のキャッシュフロー

自社株買いによる株主還元姿勢は立派ですが,負債借入によってまかなっているのがいまいちです。

pep-cf-2016

10年ファンダメンタル分析

10年ファンダメンタル レーダーチャート

10年ファンダメンタル 得点表

現在,製造設備のオートメーションにより5年間で$5Bのコストダウンを計画していることからも分かりますが,グロスマージンが53%と高い割に営業CFマージンがあまりよくありません。もう少し費用を圧縮しないと安定したCFにつながらないため,今後の改善活動に期待したいと思います。

EPSは横ばいで伸びておらず,増配によるおよび多額の自社株買いで株価が上がっているというのが実情だと感じます。

5年平均 5年スコア 10年平均 10年スコア
配当株総合評価 289 343
グロース株総合評価 非該当 非該当
グロスマージン(粗利率) 53.0% 32 53.6% 32
営業キャッシュフローマージン 14.6% 0 15.7% 7
株主資本利益率(ROE)平均値(Net Income/Equity) 30.9% 20 33.9% 20
有機的成長率(ROE x 内部留保率) 13.9% 3 16.2% 6
無機的成長率(BPS成長率) -9.2% 0 -0.6% 0
収益力評価 55 65
営業キャッシュフロー増加率 3.4% 10 5.7% 20
フリーキャッシュフロー増加率 6.9% 24 6.9% 24
EPS増加率 -1.9% 0 0.9% 7
成長力評価 34 51
自己資本比率平均値 28.3% 20 31.2% 30
流動比率(流動資産/流動負債) 114.2% 10 123.7% 20
クレジット格付け 17 20 17 20
財務健全性評価 50 70
平均配当利回り 3.0% 28 3.1% 28
自社株買い利回り 1.4% 8 1.3% 8
配当金増加率 6.3% 14 9.1% 21
配当性向(増配余地) 54.2% 0 51.5% 0
株主還元評価 50 57
ブランド力 82 60 82 60
エコノミック・モート Wide 40 Wide 40
定性的評価 100 100
機関投資家比率 71.0% 4 71.0% 4
機関投資家の売買動向 -1.8% 2 -1.8% 2
インサイダーの売買動向 -15.9% 0 -15.9% 0
現在の株価 192.1% 0 192.1% 0
現在のPER(Forward) 20.43 4 20.43 4
現在の配当利回り 2.7% 12 2.7% 12
(配当+自社株買い)利回り 4.8% 12 4.8% 12
疑似債権成長率 18.4% 4 18.4% 4
直近株価評価 38 38

10年分析グラフ

フリーCFに関しては10年で約1.8倍と増えてきています。ただ,バリュエーション的にはPER(今年度)が22.1倍にもなっており,やや上がりすぎだと思います。EPSがそこまで伸びているわけではないので,少し熱が引くのを待った方が得策だと感じます。

ただし,配当に目を向けるとここ10年で年率9.1%の成長率であり,連続増配銘柄に投資するというコンセプトであれば堅い銘柄の一つです。

pep-10yr-analysis

優良銘柄の条件

優良銘柄の条件 結果 判定 備考
条件3:他社と差別化できる優れた新製品を持つ 北米ではブランド力絶大。
条件5:主力製品の市場が長期的に拡大し続ける余地がある 特に海外展開余地は大きい。
条件10:売上,営業キャッシュフロー,フリーキャッシュフロー,EPSのバランスがよい 美しいと言って良い。

 

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