アンダー・アーマー(UA)の失速の原因

米アンダー・アーマー(UA)の成長が鈍化しています。現在の相場は金融を除き,業績に辛いため,成長率が鈍化すれば一気に叩き売られる傾向が続いています。これも元はと言えばジャネット・イエレンの利上げの余波だと考えてよいでしょう。

定量分析はこちら アンダー・アーマー(UA)

さて,アンダー・アーマーの目下の課題は,グロスマージンの急落(48%→44.8%)です。

売り上げ成長しているのにグロスマージンが落ちているのはなぜか?

このグロスマージン急落の一因として気になるのが,「(アパレルよりもマージンの低い)フットウェアの売り上げ増によって全体のグロスマージンが引き下げられた」という点と「販管費9%増=売上の32.1%に」という点です。

以前,フィル・ナイトの記事で書きましたが,フットウェア(シューズ)というのは熾烈な競争が繰り広げられてきたカテゴリーでした。パッと連想するだけでも,サッカーといえばアディダス,バスケットボールやテニス・陸上といえばナイキ(NKE),エアロビやクロスフィットといえばリーボック(現在,アディダス傘下),と言ったように,シューズの中でも用途によって群雄割拠という状況があります。

では,アンダー・アーマーは?

残念ながら,アンダー・アーマーはアパレルブランドであり,シューズブランドではない(ルーツがない)のでアディダスやナイキのようにフットウェアにおける強力なブランド力は持っていません。そして,おそらく今後もブランド力を獲得するのはかなりの困難を伴うでしょう。

直近のアンダー・アーマーを見ていると,コンプレッション・ウェアをはじめとする高機能シャツの売り上げを伸ばすことが困難になり,今まで苦手としてきたフットウェアに3年前ごろから急に力を入れ始めた印象があります。

しかし,フットウェアというのはシャツよりも高価であり,かつ長寿命なファッション・アイテムであるため,多くの人は慎重に気に入ったものを選ぶ傾向にあります。すなわち,誰もが欲しがるもの(ナイキのエア・ジョーダンシリーズは常に限定生産で品薄。値崩れもせず,並んでも買えないことも多い。)と,あまり人気がないもの(量販店で売られる安いスポーツシューズ)の格差がシャツに比べて大きいのです。

アンダー・アーマーはステファン・カリーというスーパースターをヘッドハンティングしましたが,今の所カリー一人に頼っている状況で,これはリーボックがシャキール・オニールに頼っていた時代に似ていると思います。それだけブランドを構築するのは時間と金と戦略と運が要求されることなので一筋縄にはいかないでしょう。

以上の理由から,フットウェアの売り上げ成長が必ずしもアンダー・アーマーの利益には貢献しないことが分かりました。今後も成長という目標のために,多大な投資を行いながらフットウェアに力を入れ続けるでしょうが,ブランドのルーツ(アンダー・アーマーの場合はアメフト用の速乾性下着)から離れれば離れるほど戦うのは難しいでしょう。

ブランドというのは,「言わなくてもわかる」「誰もが知っていて,誰もがかっこいいと思っている」ものであり,製品について一から説明しないといけないような状態では高価格な製品は売ることができません。

投資する場合は腰を据えて,10年ぐらいのスパンでブランド力・認知度をどこまで着実に構築できるのかをウォッチしながらの焦らずに買いに行った方が良いと思います。私の知る限りでは,体育会系の人々やスポーツジムに通っている人々,野球ファンなど以外には知名度はかなり低いと感じています。感覚的な知名度としてはデサントと同等でしょうか。

すでに株価モメンタムを根拠として投資する時期は終わったと考えられるので,ここからがアンダー・アーマーにとっての本当の勝負だと考えます。

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