バフェット流企業分析に株価-EPS推移を追加

バフェット流企業分析に長期の株価-EPS推移チャートを追加しました。株価-EPS推移チャートというのは,月ごとの株価とEPSをプロットした折れ線グラフのことで,1960年代より多くの著名投資家が使用してきたものです。

バリュー投資,あるいはシクリカル投資は投資を始めるタイミング,売り抜けるタイミングが命です。この投資のエントリーおよびイグジットのタイミングを知るには,RSIやMACDと言った短期的なオシレーターでは不十分です。また,PERについても欠陥のある指標であるため,3割ぐらいの企業を分析する上では役に立ちません。

こうした中で投資を成功させるには,プロと同じ目線で相場を眺めることが必要です。プロは,長期(30年),中期(1年),短期(1週間〜数時間)のチャートを自在に行き来して相場のプライシングの妥当性を確認します。そしてある時間軸において,相場のプライシングに誤りがあれば,買い・売りを仕掛けるというのが基本的な戦略です。

私たち個人投資家も同じ土俵で戦わなければ勝てません。

個人投資家でもプロになれる

さて,ピーター・リンチ(『ピーター・リンチの株で勝つ』)やラリー・ウィリアムズ(『ラリー・ウィリアムズの株式必勝法』)は5年〜20年程度のスパンでEPSと株価をプロットしたチャートを見て,株価のバリュエーションを判断しています。

以下のチャートはマゼラン・ファンドのマネージャー,ピーター・リンチがプロクター・アンド・ギャンブル社(PG)を分析した時のチャートです。白丸が並んでいるのがEPSで,黒線が株価です。そして余白にピーター・リンチ直筆のコメントが記載されています。(意味:”Procter and Gamble is a typical stewart delivering good perfomance in good market.”「P&Gは市況が良い時には,良いパフォーマンスをもたらす優良企業だ。」)

peter_lynch_chart

以下のチャートはラリー・ウィリアムズの本より引用しています。株価は市況やガイダンスなどの外乱で乱高下しますが,EPSは驚くほど綺麗な右肩上がりで成長しており,この着実なEPS成長が株価の上昇トレンドに寄与していることがわかります。Larry_williams_Harley_davidson_history

以上のように,長期投資やシクリカル投資を行うプロは皆,同じチャートを見て株価のバリュエーションを評価していることがわかると思います。それも自分が保有している銘柄だけではなく,市場に存在する数千銘柄のうち数百銘柄をウォッチしているのです。

活用する

実践1:安定成長の生活必需品セクター

下図は優良企業コカ・コーラ(KO)の長期株価-EPSチャートですが,一目瞭然で1995年以降の株価がバブルであることがわかります。ピーター・リンチならおそらく1994年頃の安値で仕込み,1998年の高値で売り抜けることができたでしょう。(バフェットはこういうチャートは用いていないので,売り抜けに失敗しました。)

また,2009年のリーマンショックの時期は,コカ・コーラのEPSは横ばい程度の推移であるにも関わらず,株価は30%程度の暴落をしています。これはバリュー投資家としては絶好の買い場であると判断できます。

一方で,現在の株価もまた,低迷するEPSとは裏腹に上がり続けているのでバブルであると断言できるでしょう。もちろん,コカ・コーラは事業体質のシェイプアップに取り組み成功しつつあるので,その期待に応じた短期の買い上がり自体はモメンタム投資としては正しいのですが。

KO_eps_price_history

実践2:シクリカルなセクター

エクソン・モービル(XOM)はシクリカルなエネルギーセクターの中では圧倒的に盤石の経営を誇る企業です。そのエクソンでさえ,1999年,2002年,2009年,2016年とEPSの大きな下落を繰り返してきました。面白いことに,エクソンの場合は,EPSの変動率よりも株価の変動率の方が小さく,配当目当ての買いと思われる下支えがあることがわかります。

市場全体の暴落の際にショックで投げ売りする投資家が多いですが,エクソンの場合はEPSの乱高下ほどは株価は上下動しないということを覚えておくと,投資のタイミングを測りやすいでしょう。

XOM_eps_price_history

実践3:成長企業

次のチャートはアマゾン(AMZN)です。

こちらはコカ・コーラやエクソン・モービルとは正反対で,何年経ってもろくなEPSを出していません。赤字の年度も非常に多く,PERが全くと言っていいほど役に立たない企業です。

それでも以下のチャートを見れば,1998年頃の赤字の時期や2015年頃の赤字の時期に明らかに株価が調整していることが分かると思います。赤字企業なら赤字企業なりにEPSの変化に株価が反応し,2016年以降のEPS上昇期(と言ってもAWS頼みの雀の涙ほどのEPSですが)には株価が急騰しているため,長期的に見て一定の相関はあると判断してよいでしょう。

AMZN_eps_price_history

まとめ

このように10年スパンで投資を考えている方には,PERチャートより遥かに汎用的で役立つツールだと思います。

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