TradingView
TradingViewは以前も一度紹介しましたが現存するチャート描画サイト・テクニカル分析サイトとしては最高峰です。メリットは以下の通りです。
- 市場のカバー率の高さ:米国,英国,中国,日本などの大半の市場をカバー。株式・先物・為替・ビットコインまで。
- カスタム性:プログラミング言語Pine Scriptをサポートし,自分で指標を作ることができる。
- 指標のインポート:他のユーザーの方が作ってくれた指標やストラテジーをインポートすれば簡単にいろんな指標を表示できる。
- アラート:テクニカルアラートを設定しておけば,自動的に移動平均線割れなどのトリガーを教えてくれる。
- SNS:コミュニティーに投稿することで,多くのトレーダーと意見交換できる。
カスタム性
私が普段使っているのはテクニカル指標です。特にStockcharts.comではサポートされていない指標を表示するのに重宝しており,自分で使う指標は自分なりにカスタマイズしてシグナルを一目でわかるように改造して使っています。
例1:株式投資に適した指標の例
AT&T(T)の日足チャート。トレンドの有無を見分けたり,トレンド転換点を判断するのに役立つ指標(ボリンジャーバンド,RSI,移動平均,出来高分析,ADX,標準偏差ボラティリティー,ラインブレーク,ストキャスティクス)を一枚で表示可能した例。
例2:先物市場に適した指標
次の例は先物市場(原油先物 CL)の場合です。
当ブログでもよく掲載していますが,Quandlからインポートした大口トレーダーのポジション(COTレポート分析)というのは,商品市場においては最強の指標となりえます。市場参加者がどちらかの方向に極端にポジションをとった後は強烈な反転が来ることが多く,そうしたドテンのタイミングを測定するのにCOTは欠かせません。(COTとは何か?というのはラリー・ウィリアムズの本が一番詳しいので「コマーシャルズについていけ」を参考にしてみてください。
Pine Script(パイン・スクリプト)
Pine ScriptというのはTradingViewの指標・ストラテジーを自分でプログラムできる言語のことです。上記の指標(RSI・MACDオシレーター・大口投資家の建玉など)は全てPine Scriptで実装されており好きに改造できます。
例えば,こんな感じです。RSI(14)とRSIの移動平均(MA(5))を同時に表示するもの。
私は買われ過ぎ・売られ過ぎの背景色を目立つ色に変更するようなカスタムを加えています。
このスクリプトを実行すると,次のような感じで「RSI70以上の買われ過ぎが緑」「RSI30以下の売られ過ぎがオレンジ」となって表示されます。
随所に自分なりの調整を加えることができる点がTradingViewの最大の長所であり,老舗のStockcharts.comが追随できていない点でしょう。
指標(インジケーター)のシェア
TradingViewの公開ライブラリーにはユーザーが公開してくれている指標が並んでおり自由にインポートして自分のチャートに表示することができます。(開発者へのお礼はbitcoinでの寄付が主流)本格的に指標を使いこなそうと思ったら開発者であるボリンジャー,アレキサンダー・エルダー,ジェラルド・アペルなどの書籍を読んでコンセプトを理解する必要がありますが,まずは試してみたいという時には公開ライブラリーのものを使ってみるのが手軽です。
競合比較
チャートツール・分析ツールの真の最高峰はBloomberg Professionalでしょう。年間200万円以上かかり,かつ法人契約しかできないという縛りがあり,「プロ」か「モグリ」かを判断する格好の材料です。(ファンドマネージャーでBloombergを使っていなければ疑ったほうがいい。) 春山昇華さんも愛用されており,為替・債券・株・経済指標までありとあらゆる情報に”コネクト”しているという点で黄金のスタンダード端末です。
Tradingviewはこのbloomberg端末には劣りますが少なくとも個人投資家がアクセスできる情報量としては他社と比較しても最高クラスなのは間違いありません。上に書いたようにQuandl.comとデータ提携するなどしたことで先物・債券・株式投資に必要な情報は揃っており,一般的な投資家・トレーダーの方なら不自由を感じる点はそんなにないと思います。
課金
無料版($0),Pro(月額$9.95),Pro+(月額$19.95),Premium(月額$39.95)のコースから選ぶことができます。私は個人投資家ですが企業分析・テクニカル分析の効率化のためにPremium(月額$39.95)コースを契約しています。
有料コースが複数に分かれていますが,私が思うに①無料にする,②課金するならPremiumにするの2択だと思います。
というのも,Premiumを選ぶべき人というのは以下の条件を満たす方だけでしょう。
- 市場の動きを毎日チェックしたい人
- 株式,先物,債券まで含めて手広くポートフォリオをカバーしている人
- テクニカル分析を極めたい人で,かつプログラミングしてチャートやストラテジーをカスタマイズしたい人
これらの中で,どれか一つでも条件を満たさない場合は無料でもいいと思います。Premiumの最大のメリットは,保存できる銘柄数やチャート数に上限がなく,苦心して編み出したストラテジーを無尽蔵に保存できる点です。私も当初は安い課金コースから始めたのですが,Pro,Pro+はどちらも中途半端な制限付き(チャートの保存数が5個まで)なので諦めてPremiumにアップグレードしました。
競合のStockcharts.comはジョン・マーフィーをはじめとするベテランのテクニカルアナリストを大勢擁しておりアナリスト・コミュニティーのクオリティーは最高です。しかし,いかんせんチャート機能の拡充があまり進んでいません。対するTradingView.comは,チャートサイトとしての進化の速度が圧倒的に早く,自分で好きなようにチャートをいじりたい人には最高の環境です。この辺りは好みですね。
これまでのところ,Premiumで十分に満足しています。
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