ポートフォリオ論

集中投資の落とし穴

今までの投資をする際には企業のファンダメンタルズを徹底的に調査し,思い切って集中投資するというバフェット流でやってきました。本当にお気に入りの銘柄は年に1銘柄か2銘柄しか現れないものです。ファンダメンタルズが多少良い程度では見送ってしまい,フルスイングするのは年に1回〜数回程度。しかも,気に入らない銘柄や値動きが悪い銘柄はどんどん損切りされて,永久投資にふさわしい銘柄だけが残ってしまう。

こういうプロセスを経て,望む・望まざるに関わらず全財産を単騎〜2銘柄程度を突っ込んでしまうという経験は,個人投資家誰しもが一度は通る道でしょう。私も完全に集中投資の罠にはまっています。

しかし,こうした超集中投資というのはリスクも高いことが分かってきました。

集中投資というのは魔力があり,惚れ込んだ銘柄だけしか持たないという意味では精神的には最強に安心です。しかし,リスク管理という観点ではベストな方法ではありません。実際,単騎投資で失敗する投資家も数多く見てきました。

リスク管理・逃げ足をマスターするというのが今年のテーマなので,初めてポートフォリオ論を学びました。

分散の目的

せっかく超優良銘柄を探し出し,さらにその銘柄がバーゲン価格をキープしている場合,なんら問題ないのではないかと考えられがちです。なぜ単騎ではダメなのか?

それは単騎だと決算の不振などの影響で,一夜にして30%程度の下落リスクがあるからです。株は一度凹むとすぐには戻りません。その下げが大きければ大きいほど再上昇には時間がかかります。20%の下げなら戻るのに2〜3ヶ月,40%の下げなら半年〜1年かかるということもよくあります。

こうした下げの影響を最小にするのがポートフォリオ構築の目的です。

最適な銘柄数

資産規模によって最適な銘柄数は異なります。バークシャー・ハサウェイで言うと17兆円を約60銘柄に分散投資しています。集中と言わるバフェットでも資産の半分はETF並みに分散しているのです。

では,つい集中投資に陥りがちな個人投資家はどれぐらい分散すれば良いのでしょうか?

実はすでに答えがあり,以下のように明確に指標があります。

資産規模(円) 最適な銘柄数
50万円以下 1〜2銘柄
50万〜200万円 2〜3銘柄
200万円〜2000万円 4〜5銘柄
2000万円〜1億円 5〜6銘柄
1億円〜5億円 6〜7銘柄
5億円以上 7〜8銘柄

こうしてみると単騎自体は悪いものではないことがわかります。つまり,資産が50万円程度なら単騎は妥当ですが,資産1億なら単騎はやめたほうが良いということです。

また,資産が10倍に増えたからといって,銘柄数を10倍にする必要もありません。どれだけ資産が多くとも,最大でも8銘柄以下に抑えたほうが管理上も得策です。

ポートフォリオの最適な分散数というのは,経済学的にも研究対象になっているようで,銘柄を増やし過ぎてもリスク分散の効果はこれ以上は増えないと立証されているようです。

1銘柄あたりの金額目安

資産規模(円) 最適な銘柄数 パーセンテージ 1銘柄あたりの金額
50万円以下 1〜2銘柄 50% 25万円
50万〜200万円 2〜3銘柄 33% 25万円〜65万円
200万円〜2000万円 4〜5銘柄 20% 80万円〜400万円
2000万円〜1億円 5〜6銘柄 16% 320万円〜1600万円
1億円〜5億円 6〜7銘柄 14% 1400万円〜7000万円
5億円以上 7〜8銘柄 12%

間違った株の買い方(1) ナンピン買い

株で最も避けるべきは,ナンピン買いです。今まで何十冊も投資本を読んできましたが,バリュー投資の本だろうとグロース投資の本だろうと,ナンピン買いを推奨する本は1冊もありませんでした。

敢えていうならピーター・リンチの『株で勝つ』に書かれていた「25%株価が下がったときに買い増ししたくなるような株以外は買うな」という一節がありましたが,これもナンピンを推奨しているのではなく,それぐらいの優良株を買えという意味でのアドバイスであり,ナンピンは決して推奨していません。

株は下がったら売り,上がったら買い増しというのが全ての本に共通するアドバイスです。

間違った株の買い方(2) 集中買い

一度に集中的に買うのも間違いだと言われます。それは,タイミングがドンピシャに合うというのはプロでさえ稀だからです。

誰しもがバーゲンのタイミングや,新高値のブレークアウトのタイミングを狙って買いたがっている一方で,バーゲンのタイミングでは空売り勢がワラワラと集まってくるので安値を更新しやすく,新高値では利食いの売りで反落することもしょっちゅうあります。

タイミングが完璧に合わない以上,たとえ優良銘柄を買うときでも,時間的に分散させるのが鉄則です。

正しい株の買い方 (1) 試し買い

「ナンピン買いはするな」「集中買いはするな」という”すべからず”アドバイスはどの投資家でも異口同音に同じです。それだけ,伝説の投資家であってもナンピン買いや集中買いをしてしまい,大損したことがあるということでしょう。

しかし,正しい買い方となると投資スタイルによって様々です。

バーゲンハンティングも正しい(バフェットやテンプルトンやピーター・リンチやケン・フィッシャー),ブレークアウト買いも正しい(ウィリアム・オニールやミネルヴィニ)のです。これらの買い方には優劣はありません。

ただし,共通点はあります。それは買うタイミングを時間的に分散することです。

正しい株の買い方 (2) ピラミッド法

ウィリアム・オニール流だと基本的に株はブレークアウトで買うことになります。その場合の買い方はピラミッド法と呼ばれ,「Buy Point」で最も多く投資し,その後高値を更新するたびに買い増しをするというものです。

これは,買うタイミングが最適であれば,その後は順調に株価が上昇するはずという前提に立っているので,株価が上がらなければ買い増しは実行されません。(ナンピンによる買い増しはNG。)

また,その銘柄に突っ込もうと思っている金額の50%を「初回のBuy Pointで」投資するというのもリスクヘッジのために有効です。もし株価が上がるのであれば,安いうちに多めに買うのが合理的だからです。

また,あまりに高値を追うと反落のリスクもあるということで,買い増しはBuy Pointから5%までのレンジに留めます。それだと平均取得単価はほとんど上がりません。

購入タイミング 購入価格 資金の割り振り
(3) 買い増し2回目 上昇トレンドの押し目 or
新高値ブレークアウト
105% 15〜20%
(2) 買い増し1回目 上昇トレンドの押し目 or
新高値ブレークアウト
102.5% 30〜35%
(1) 初回の買い Buy Point
新高値ブレークアウト
100%(基準とする) 50%

この買い方・買い増しの仕方を忠実に実行できる銘柄は実はそう多くはありません。半数の銘柄は買った後下がるので,買い増しどころか損切りされることもありえます。

すなわち,パフォーマンスの悪い銘柄は一度も買い増しのチャンスは訪れず,パフォーマンスの良い銘柄は買い増しされてポートフォリオの比重が徐々に大きくなっていくということです。

そうすることで,ポートフォリオ全体に占める勝ち組銘柄比率が高まるので,ポートフォリオ全体のパフォーマンスも上がるというわけです。

リスクを抑えつつ,システマティックにポートフォリオのパフォーマンスをあげたければ最適な方法です。

オニール流の欠点は,下げ相場に弱いことです。

相場環境が悪いときには,残念ながら一つの銘柄も買い増しされずに損切りされ,キャッシュポジション100%に戻ってしまうこともありえます。

これはバフェット流やシーゲル流ではありえないことです。

相場が良いときに株式比率(勝ち組銘柄比率)が高まり,キャッシュポジションが低くなるのがオニール流。(例えば,2017年の相場ではエヌ・ヴィディア(NVDA)やアプライド・オプトエレクトロニクス(AAOI)の比率が高まる。低パフォーマンス銘柄は持たない。)

相場が悪いときに株式比率(バーゲン銘柄比率)が高まり,キャッシュポジションが低くなるのがバフェット流です。(例えば,2008年〜2009年のような相場で,ウェルズ・ファーゴ(WFC)の比率が高まる。ハイ・ボラティリティ銘柄は持たない。)

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