『原油価格と株価の相関関係』を読んで腑に落ちました

原油価格と株価の相関

Invest Shiftさんの『原油価格と株価の相関関係』にてブルッキングス研究所に投稿されたバーナンキ元議長のコラムの解説がありました。昨年以来ずっと謎に思っていた「原油(WTI)が下がると株価も高い確率で下がる」という違和感について書かれており,かゆいところに手が届いた感がありました。

今まで思っていた謎は,「原油価格下落は,先進国にとってポジティブ,産油国にとってネガティブ」という仮説と実際の値動きが真逆だからです。

ピクテのデータによると,原油価格が25%下落した場合,米国のGDPは0.4%増加するという推定があります。これは下落するガソリン価格により消費者の家計支出が減り,その分ほかの消費が増加することで内需が活性化すると予想されていました。Markethackの広瀬さんも同様の主張を繰り返し行っています。

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しかし実際にはこの仮説(ガソリン安で消費増)は外れており,2016年2月のロイターの記事を見ても消費ではなく貯蓄に回したらしいことが書かれていました。

[ワシントン 1日 ロイター] – ガソリンなどのエネルギー価格が大幅に下落したが、米国民はそれによって浮いた資金を消費してしまわず、貯蓄に回している。石油安はかつてほどの景気浮揚効果をもたらさなくなっているようだ。

米商務省のデータによると、2014年半ば以来、原油価格が70%下落したことで、ガソリンその他のエネルギー商品に対する家計支出は年間1150億ドル減った。これは国内総生産(GDP)の約0.5%に相当する。

しかし同時に貯蓄額が1210億ドル増えている。商務省のデータはこの資金の出所を示していないが、別の調査を見ると、原資はエネルギー安で浮いた分のようだ。

これらの情報を総合すると,原油安は米国民の貯蓄を増やしたものの,消費マインドは冷え込んだままで,GDPは思ったより増えず米国企業の業績は思ったより悪い。消費が悪い=景気が悪いので,原油の需要も伸びないから,原油価格も上がらない。そして,原油安でショックを受けて投資マインドまでも冷え込んでしまい,ポケットに現金はあるが,むしろ株を売ってキャッシュポジションを高めている(リスクオフ)ことになります。

Invest Shiftさんの記事のお陰で,ここ数ヶ月納得いっていなかった現象の謎が腑に落ちました。

リスクオフムード解除

では,次の疑問はリスクオフムードがいつ,リスクテイクムードになるかです。2015年以降,原油安,中国景気悪化というグローバルなファンダメンタルの悪化が続いています。唯一ドル高だけは米国と言うより,日本と欧州の中央銀行の都合で是正されドル安に動いていますが,まだ今期決算時点では米国企業の業績を改善させている傾向は見られません。

個人的な予想では,原油は今年中に底打ちはすると思っています。(今の1バレル30ドルでは得するプレーヤーが少ないので。)そういう意味では,長期的には楽観視しており,原油価格が上昇に転じれば,投資マインドは再びポジティブになると思います。よって,原油も株価も今年後半が底になるのではないかと期待しています。

もう一点の不安要素である中国景気は,過剰投資・過剰生産設備が解消する見込は低く,今後数年間にわたって尾を引くと考えています。過剰生産によるダンピングの影響を受ける鉄鋼業や,中国での販売に依存しているアップル(AAPL),ナイキ(NKE),ゼネラル・モーターズ(GM)などにとっては苦しい年が続くのではないかと思います。覚悟が必要ですね。

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