2008年-2020年の歴史予測

黒田総裁の発言(「2019年末に物価上昇率2%達成,出口戦略へ」)により今後3年間程度の中央銀行の政策ロードマップが出揃いました。投資というのは中央銀行の政策の変曲点・景気サイクルの変曲点の両方を見極めることが何よりも重要です。少なくとも前者については変曲点が明らかになりました。

中央銀行の政策の変曲点

昨年秋に発表された通り,FRBのバランスシート縮小は着実に進んでいます。MBS・USTの売却による流動性の低下が債券市場や株式市場に大波乱をもたらしていることは皆さんもよくご存知だと思います。

以下の記事でも想定されるQTの予想図をまとめています。すでに賽は投げられたという状況で全世界的に引き締めの方向は確定ですね。

景気の変曲点

一方,企業業績や景気そのものについてはまだ変曲点は見られません。少なくともマーケット指標の住宅・失業率・労働時間など見る限りは景気が減速したことは確認できず,ビジネスサイクルとしての企業業績の変曲点はしばらく先ということが言えます。

数字上は過去最高のEPSとなる予定の2018年決算ですが,今重視すべきはEPSではなく売上です。会計上,税金が下がれば企業の利益が増えるのは当たり前であり「浮いたキャッシュが設備投資や支出に回され,結果として各企業の売上がどれだけ伸びるか」を今後,観察しようと思っています。

10年サイクルを総合的に観察すると

中央銀行:引き締めサイクル開始
景気:拡大サイクルの途中または頂点付近

というのが現在の景気サイクルのフェーズです。上に景気サイクル,下に中央銀行のQE/QTサイクルを模式化しましたが,2008年以降の全世界QEの結果過去最長の債券バブル,株式の上昇相場が繰り広げられて来ました。これは中央銀行によるモーゲージ債・国債買い入れ・ETF買い入れまで含む空前の規模の流動性供給に支えられての相場であり,中央銀行の政策が資産価格の大きな下支えとなって来ました。すなわち,中央銀行が操縦する上昇相場だったわけです。

まだ景気が頂点を打ったかどうかわからない状況のままの仮の絵ですが,株式市場は企業業績より半年〜1年先行し,一般人のセンチメントは企業業績より3ヶ月〜半年遅行することを考えると,最も早く景気後退局面に突入した場合は以下のようなタイムスケジュールとなります。

最短パターン
株価:2018年中旬にピークアウトして先行下落開始,FRBのQE4により2019年後半〜2020年前半に底打ち
企業業績:2018年後半〜2019年前半にピークアウト
センチメント:2019年中旬に下落し,2020年に底打ちする。

不確定要因はトランプ政策による効果の持続性であり,もし実体経済がさらに過熱しそうであれば1年ぐらい後ろにずれ込むと思います。(その場合は,今のパウエル議長のQTは絶好のタイミングとなります。)逆にトランプ政策が短期で効果を失った場合は,株価は相当早く下に向かうでしょう。(下図のようなペース)景気指標のアップデートのたびに思惑が交錯するため,売り買い双方でやられるパターンも出てくると思います。

ただ,俯瞰的に眺めて,中央銀行が売り手に回った以上,買い材料は実体経済・企業業績のポジティブサプライズのみです。中央銀行引き締めのニュースで売り,決算のサプライズで買うという相場が2018年は続くと見ます。

※各国の中央銀行の政策や債券・株式市場について包括的に学びたい方には『投資家のための金融マーケット予測ハンドブック』(三井住友信託銀行 マーケット事業 著)がおすすめです。本のサイズからは想像できない充実ぶりでどちらかというと経済白書・経済全書という感じです。世界各国の中央銀行の政策の歴史〜株式市場・債券市場・商品市場の指標〜中国・インドなどの経済指標まで解説されており,きちんと全ての章を読み込むには数ヶ月は要する良書です。

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