英国民に必要なのは団結

6月23日の英国の国民投票の結果は,51.9%の得票率でEU離脱派が勝利しました。そして,私は大いに失望しました。選挙結果そのものではなく,英国民に対してです。未だに英国民が国民投票の結果を消化できておらず,両陣営が罵り合いを続けているようなのです。

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通常であれば,選挙が終わればノーサイドというのが民主主義の「お約束」です。大阪都構想でわずか0.76%差で勝敗がついた後の大阪府民が模範例だと思います。橋下市長は清く政界を引退し,長く住民の心を引き裂いてきた都構想問題に決着がつき,大阪府民の団結が甦りました。議論で決着のつかない問題を選挙一発勝負で決めてしまい,その結果に文句は垂れないという態度は,端から見ても天晴れでした。

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一方,英国はと言うと,ファイナンシャル・タイムズの記事『Brexit: the demographic divide』ではこんな調子です。

“London’s boroughs slot fairly nicely into the national pattern: more education was associated with a lower Leave vote, and the Leave vote for any given level percentage of degree-educated people was broadly in line with the national trend.

あくまで一般的な統計データのことを言っているかのような書き方ながら,学歴差別や高齢者への偏見が垣間見える内容であり棘があります。当然,残留派はこんな感じのフォローコメントになります。

This bizarre fact simply underlines the extreme stupidity or wanton self destructiveness by a large part of Leave voters, just as many regions that depend on EU funding also appeared to have voted for Brexit. Either way, it doesn’t provide any comfort on the thought processes of many Brexit voters or that they understand what they’re doing or why they voted the way they did.

「高学歴な住民が多い地域は,EU残留派が多い」(本音:離脱派はアホだ論
「パスポートを持たない人が多い地域は,EU離脱派が多い」(本音:離脱派は内向きだ論
「高齢者はEU離脱派が多い」(本音:離脱派はシルバーデモクラシー論
実際にこうした傾向があるのかも知れないし,無いのかも知れないですが,極東の一日本人から見たら「SO WHAT??」です。その統計が問題ではなく,問題は安易な統計データに基づく類型化が偏見を生むことです。

「高学歴→○○△△の理由で→残留派である」
「低学歴→○○△△の理由で→離脱派である」

この○○△△の理由の部分に,学歴との直接的な因果関係があるのかないのかもはっきりしません。年齢との因果関係も,各人の背景が分からない以上,統計上の相関だけでは何も言えません。経済利益・移民・英国としての政策的自由度,など有権者が投票するに至って考慮したファクターは無数にあり,それら全て解きほぐして解説したからと言って,投票結果は覆りません。

たとえば,東欧からの移民はPh.D.(博士号)を持っているようなエリートが多いです。一方,旧植民地からの移民はインドのPh.D.卒も多い一方で,インド料理シェフなんかも多いので,『移民嫌い』問題と一言で言うことも,実際に英国に行ったことがある人なら抵抗を覚えるでしょう。個別の問題自体複雑すぎて,理解することも説明することも困難なものです。

だからこそ,国民投票で決着を付けて団結しようとしたのではなかったのでしょうか?

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選挙とは祭りであるとともに,政(まつりごと)でもあります。何らかの争点に対して激しく闘うのは祭り(選挙)の最中だけでよく,その後も延々と闘うのは民主主義の王道から外れます。民主主義にゲリラやパルチザンは要りません。

私の願いは早く英国民全員がブレグジットを受け入れて,”United” Kingdomに戻ってくれることです。

正直,今回の選挙キャンペーンは一国の内政問題であるにも関わらず,周りも大騒ぎして過干渉(オバマ大統領や,J.P.モルガンチェースのジェイミー・ダイモンCEOなども駆けつけて残留キャンペーンを行いました)しすぎたことが,英国民の血を燃えたぎらせたという側面が大きいです。離脱派からしたら,残留派は極めて卑怯なグローバルエリートの手足と映ったに違いありません。

英国民の感情に亀裂を入れたのは米国含めた世界に責任があるものの,ここは一つ英国には落ち着きを取り戻してもらいたいです。

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