アマゾン・プライベートブランドVS ナイキ・アンダーアーマー・アディダス

アマゾンがモンスター化しつつあります。
アマゾンについては過去定点観測を続けており,現代の消費社会どころか現代人の生活様式までも変える化け物企業だとして注目しています。

さて,モンスター化と言うのは,アマゾンのアクティブウェア・プライベートブランド戦略に関する話です。
l2incによれば Goodsport, Rebel Canyon, and Peak Velocity といった無名のブランドで売られている商品は,実はアマゾンのプライベートブランドだとのこと。

Goodsportはチャンピオンなどのような低予算の顧客向けのライン。
Peak Velocityはナイキ(NKE)やアンダーアーマー(UA, UAA)といったメジャーブランド顧客をターゲットとしたやや洗練されたライン。
Revel Canyonはナイキ(NKE)やルルレモン(LULU)のようなおしゃれなヨガウェアなどを揃えたライン。

とターゲットとする客層ごとに分かれています。

現在,アマゾンにはアンダーアーマー(UA, UAA)やアディダス,ナイキ(NKE)をはじめとするメジャー・アスレティック・ブランドが出店しており,その中でもアンダーアーマー・アディダスは大きく成功しています。

下図はアマゾンにおいて2017年3月から6月にかけて販売されたベストセラーブランドを表したもので,メンズに限って言えばアンダーアーマーとアディダスで半数を占めます。ブランド力を背景に売れ行き好調ということがわかります。(一方レディースについてはブランド力がほとんど発揮されておらず,まだ,どの単独の企業も女性市場を攻略できていないことが分かります。80年代・90年代ののリーボックぐらいでしょうか。)

アマゾン=学習マシーン

このブランドとアマゾンの蜜月が終わりつつあるのが2017年の実情です。

アマゾンはマーケットプレイスに出店された商品から,何が売れ筋か,どういう顧客が何を買うかと言うビッグデータを常に収集しています。その学習結果を試すプロトタイプラインが上記の3つのプライベートブランドです。

アンダーアーマーやアディダスは目先の売上増のためにアマゾンに貴重な商品情報をタダで(実際にはアマゾンに対して売上の2%-5%程度のフィーを支払って)提供してあげている愚かな企業と言うことになりかねません。

先日のナイキ(NKE)のインベスターズ・デイでは,1. ナイキは自社ウェブサイト(nike.com)を中心にEコマース戦略を立てており,2. アマゾンはパイロット試験用であり限定的だ,と言うことが発表されています。ナイキはアマゾンに対してかなり懐疑的なスタンスですね。特に定価販売が可能なJordanブランドやAir Forceブランドなどは自社サイトでのみ限定販売を続けると言うことでしょう。

このように対アマゾンの距離の置き方は各社様々なのですが,そうこうしている間にアマゾンは毎年急速にアスレティック・アパレル市場を理解しつつあります。今は全くの無名ブランドにすぎないアマゾン・プライベートブランドが,機能性・ラインナップにおいてはトップブランドに追いつく日も近いということが言えるでしょう。アマゾンの顧客のうち男性の半数はブランドにこだわっていないですし,女性になるとますますブランドの力は弱いです。

そして,アマゾンの成長によりブランド力のない企業,差別化しづらい製品から順に「アマゾンに食われる」事態が発生します。
(類似のケースはネットフリックス(アマゾン・Webサービスに100%依存する顧客)VSアマゾン・プライム・ビデオのコンテンツ競争にも言えると思います。アマゾンは自社の顧客とも平気で食い争いをします。)

2017年10月に発表されたアンダーアーマーの決算で,北米において主力事業アパレル部門の売上が減少に転じたことが発表されましたが,このニュースは今後のアパレルブランドが踏みとどまれるか,食われるかの試金石として貴重な情報を提供してくれています。

逆にアマゾンにとっての最悪の展開というのは,各ブランドが一斉に引き上げることです。アマゾンという学習マシーンは,店舗と販売チャネルを提供する代わりに顧客情報や製品情報を収集することで学習し,効率的・機械的に売れ筋を狙った製品開発をしている訳で,自ら流行を発信する能力があるわけではありません。そのため,ブランドが引き上げて学習機会を失った瞬間,迷走しだすと思います。

その時がアマゾンの真価が問われる時期となるでしょう。私もナイキ以外のブランドがそこまで本気でアマゾン対策をしてくるかどうかは怪しいと思っていますが,アンダーアーマーやアディダスが巨大な販売チャネルを絶ってまで対アマゾン戦略を実施するようになれば投資家としてはますます面白い展開となりますね。

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