ロウズ・カンパニーズ(LOW) 企業分析

ロウズ(LOW)はホームデポ(HD)に次ぐ,米国2位のホームセンター(home improvement goods and services)です。DIYで家でも車でも自分で修理してしまう北米ならではの巨大カテゴリーなので日本にいるとイメージがしづらいですが,カインズやコーナンの大型版と考えると良いでしょう。(日本の場合はDIYマーケットが小さいため,園芸用品や日用雑貨が主力ですが。)

1961年以降継続して配当を出しており,さらに54年連続増配の配当王でもあります。

企業ホームページ

Lowe’s

セクター

一般消費財・サービスセクター

企業概要

ロウズ(LOW)は1946年創業のホームセンターです。もともとは小型店舗を展開していましたが,1980年代以降にホームデポ(HD) が大型店舗で成功したのを受けて,量販店スタイルに転向しました。

ロウズは現在米国,カナダ,メキシコに1855店舗を構えており,160万人の利用客がいます。

2009年にロウズはオーストラリアの競合ウールワースの株式33%を取得し筆頭株主となりました。ロウズは現在オーストラリアのウールワース38店舗の親会社と言うことになります。また,2011年にはATGストアーズを買収してネット販売も強化しています。

このように,ホームデポと同じく”オムニ・チャンネル(omni-channel)”(直売以外の販売チャネルを拡大)を強化しています。

経営陣

CEO:ロバート・ニブロック

規模

従業員数:270,000
拠点:1,855店舗
地域別売上:北米100%の完全ドメスティック企業です。

業績近況

ここ7年間ほどは店舗数の伸びが衰えています。これは,サブプライムショック以降,北米市場において住宅市場が冷え込んだこと,アマゾン(AMZN)などの通販サイトがより普及しオムニチャンネル(実店舗以外)の販売チャンネルを強化する方針になったことが原因でしょう。

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一方で,既存店売上高は前年比4%以上の伸びを見せており業績を牽引しています。2006年〜2009年までは低迷気味でしたが,住宅市況の回復とともに右肩上がりですね。

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業績牽引の鍵は,2011年以降,トランザクション(出足)と,平均チケット(1回あたりの消費額)の双方の増加です。

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市場

北米の住宅修繕用品市場(home improvement)の規模は,2015年で$735B(8000億円)と推定されています。ここ4年は以下の通り微増傾向にあります。

home-improvement-market

米国家庭の修繕費用のモデルは以下の通り。

home_improvements

競合状況

最大の競合は,同業1位のホームデポ(HD)です。業績を比較すると,グロスマージンや営業CFマージンはほぼ同等で収益力には大きな差はありませんが,成長性ではホームデポに分があります。営業CF増加率,フリーCF増加率,EPS増加率どれを見てもホームデポが上です。

その他の競合としては,通販サイトですね。Everything Storeであるアマゾン(AMZN)などが長期的に見れば競合となります。

シナリオ(SWOT)

機会 脅威
強み  住宅市況の好転

米国家庭の平均賃金上昇

弱み  ホームデポとの競合激化

住宅市況の悪化

賃金上昇による賃上げ圧力,人件費増

米国内中心のドメスティック企業のため,為替の影響はほぼ受けません。

最近のマーケット状況

25年チャート

2008年,2009年の住宅不況で株価が1/3になりました。さすがにこれに匹敵する不況は今後10年,20年はやってこないとは思いますが,景気変動に弱いことは念頭に置いておくべきです。

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5年チャート

ここ1年間はボックス圏です。見事に$77あたりの抵抗線で跳ね返っています。

low-5yr-chart20160503

日足チャート

今の保ち合いを上抜けするには,決算でのポジティブサプライズがないと難しそうですね。

low-daily-chart20160503

先四半期のキャッシュフロー

配当・自社株買いともに大幅に支出しており,株主還元への意識は非常に強いです。一方,期末の現金は減ってしまったので財務的にはやや不安ですね。

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10年ファンダメンタル分析

10年ファンダメンタル レーダーチャート

ホームセンターとしては北米ではホームデポと並んで強固なブランドを築いており,ワイドモート企業だと言えます。ただ,北米では上位2社が新規出店できる場所はあまり残っておらず,成長性という意味では頭打ちになりつつあると思います。

売上増のためには既存店での収益性を改善していくことが第1の戦略ですが,もう一点はやはり販売チャネルの多角化という道しかないんでしょうね。正直,オムニチャンネルがどこまで消費を喚起できるか疑問ですが,成熟市場の中で経営陣が何とかチャンスを探っている段階だと思います。

10年ファンダメンタル 得点表

平均配当利回りが1.5%と低いですが,自社株買いの利回りがここ10年で平均5.1%と驚異的な利回りを記録しています。配当に関しては配当性向は32%程度と増配余地はまだまだありますが,自社株買いをさらに強化するのは難しいでしょう。キャッシュフローを削りながら自社株買いを行っている状態ですので,借入金を増やすしかないです。まあ,まだまだ財務的には盤石なので,負債比率を増やしても問題ないとは思いますが。

5年平均 5年スコア 10年平均 10年スコア
配当株総合評価 297 311
グロース株総合評価 非該当 非該当
グロスマージン(粗利率) 34.6% 24 34.6% 24
営業キャッシュフローマージン 8.1% 0 8.6% 0
株主資本利益率(ROE)平均値(Net Income/Equity) 17.8% 10 15.3% 10
有機的成長率(ROE x 内部留保率) 12.0% 3 11.1% 3
無機的成長率(BPS成長率) -6.9% 0 -1.1% 0
収益力評価 37 37
営業キャッシュフロー増加率 1.9% 10 0.6% 10
フリーキャッシュフロー増加率 7.3% 24 19.9% 32
EPS増加率 13.8% 28 3.2% 14
成長力評価 62 56
自己資本比率平均値 36.2% 30 50.7% 40
流動比率(流動資産/流動負債) 116.0% 10 121.5% 20
クレジット格付け 15 15 15 15
財務健全性評価 55 75
平均配当利回り 1.5% 14 1.5% 14
自社株買い利回り 6.1% 16 5.1% 16
配当金増加率 15.1% 28 19.5% 28
配当性向(増配余地) 32.4% 0 32.4% 0
株主還元評価 58 58
ブランド力 78 45 78 45
エコノミック・モート Wide 40 Wide 40
定性的評価 85 85
機関投資家比率 77.0% 4 77.0% 4
機関投資家の売買動向 -8.2% 2 -8.2% 2
インサイダーの売買動向 -1.0% 6 -1.0% 6
現在の株価 315.7% 0 315.7% 0
現在のPER(Forward) 16.2 8 16.2 8
現在の配当利回り 1.5% 8 1.5% 8
(配当+自社株買い)利回り 9.3% 16 7.6% 16
疑似債権成長率 12.6% 4 12.6% 4
直近株価評価 48 48

10年分析グラフ

利益率が改善傾向にあります。また,2009年以降は新規出店のペースを大幅に落とした結果,投資CFが減り,フリーCFが大幅に増加しました。このフリーCFは内部留保せずに自社株買いに充当しています。

成熟市場の成熟企業としては株主還元に重きを置くのは正しいのですが,一方,急成長していたグロース株が安定株に変貌を遂げた瞬間を目の当たりにするようで,ちょっと残念ではあります。株主の立場からすると,キャッシュフローマシーンなのでホームデポ(HD)との業績・株価を見比べながら選びたい銘柄ですね。

PERは安定しており,過熱感はありません。ただ,注意すべきは住宅市況が悪化すると業績にもろに響くので,長期バイ・アンド・ホールドにはあまり向かず,不況期に買って,その後の好況期に持ち続けるというようなつきあい方がいいと思いました。景気循環株的な扱いですね。
low-10yr-analysis

優良銘柄の条件

優良銘柄の条件 結果 判定 備考
条件3:他社と差別化できる優れた新製品を持つ 単なる小売り業 ×
条件5:主力製品の市場が長期的に拡大し続ける余地がある 住宅修繕市場自体は成長余地あり。人口増・移民増が期待できるため。
条件10:売上,営業キャッシュフロー,フリーキャッシュフロー,EPSのバランスがよい 収益性に難あり。

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