セクター分析(3) マリファナ(カンナビス)産業

米国では一部の州において医療用マリファナ(大麻,カンナビス)が合法化されています。マリファナはハーブの中でも比較的中毒性が低いわりに,慢性疼痛の鎮静化に効果があるとされ,医療用でも,あるいは嗜好品としても所有・使用することができます。(一部の州だけですので,州をまたいだり,国境をまたいではいけません。)

バラク・オバマ

マリファナについてはオバマ大統領が若い頃常用していたことがよく知られており,合法化にも熱心とされています。下の写真はマリファナで気持ちよくなっているオバマ。

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市場

米国でのマリファナ市場の規模はワインやチョコレートといった嗜好品よりも大きく,ビール・タバコに次いで第3位です。タバコの市場規模が$92.2Bilであるのに対し,マリファナは$45Bilなので約半分と考えておけば良いでしょう。米国大手アルトリア・グループの売上が$18.8Bilであるのと比較しても十分に巨大な市場だと言えるでしょう。

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合法化された州

米国では,1996年にカリフォルニア州で住民投票によって医療大麻が合法化されたのを皮切りに,コロラド州,ワシントン州,オレゴン州,首都ワシントンDC,そしてアラスカ州などでマリファナは合法化されています。今後も合法化される州が増えていく見込みです。

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ベイポライザー(気化器)

マリファナはタバコと同じく加熱蒸気を肺に吸い込むという手法が一般的です。他にも,マリファナ入りのクッキーなど食品から摂取することも可能ですが,胃で消化されるまでに2〜3時間を要するため,すぐに効果が現れる気化方式と比べると不便です。

そのため,多くのユーザーはベイポライザーと呼ばれるポケットサイズの気化器を使ってマリファナを気化させて吸い込みます。

写真でいうと以下のようなもの。V2 Proという機種で一番人気です。ハンディーでデザインも申し分なし。

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電子タバコとマリファナ

よく言われるのが,電子タバコ(Eシガレット)のベイポライザーが使えるんじゃないかという話ですが,オススメはできません。

というのも,マリファナは販売時点ではオイル,ワックス,ドライハーブの3種類のどれかの形態で売られることが多いです。酒などのアルコールと,牛脂などの脂を比べてもらうと分かりますが,アルコールは気化しやすいものの,脂は気化しにくいです。これと同じ話で,マリファナを気化させるには157度以上の温度が必要とされています。(”Sweet spot(うまい温度)”は170度だそう。)

それに対し,電子タバコ用のベイポライザーは,ベジタブルグリセリン,プロピレングリコール溶剤に溶かしたニコチンを気化させるだけで良いのでだいたい65度ぐらいまでしか加熱しません。したがって,マリファナを十分に気化させることができないのです。(もちろん,単なる温度設定なので「兼用機」を作るのは簡単ですが,今の所市販されているのは使えないと考えて良いでしょう。)

FDAとマリファナ

FDAは医薬品の規制当局ですが,マリファナもドラッグの一種として規制対象としています。これまでのところ,マリファナを安全で効果のある医薬品として承認したことはありません

もし連邦法にてマリファナが合法化されれば,FDAも何らかの規制ガイドラインを出すことになるでしょう。純度の基準(不純物0.1%未満など)医薬品では当然とされている管理水準が今のカンナビス産業にはまだないため,業者が自主的にガイドラインを定めて管理,運用しているのが実情です。

しかしながら,このまま不純物を含むマリファナが大々的に広まると薬害問題が起きかねないため,カンナビス業界側は規制を望んでいるのが実情です。(高い管理水準が求められれば,他社への参入障壁にもなり得るため。)

タバコ業界とマリファナ

フィリップ・モリス(PM),アルトリア・グループ(MO),レイノルズ・アメリカン(RAI)などの米国タバコ業界は1970年代からマリファナを有望な産業と見ていました。純タバコからすればマリファナは嗜好品としてのライバルですが,タバコにマリファナを混ぜるなどすれば両方同時に楽しむことができ,参入の可能性も視野に入れていたようです。

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残念ながらタバコ業界は1970年代以降,健康被害に対するバッシングが盛んになり,広告の取りやめや,事業の多角化など試行錯誤に励んでおり,違法とされたマリファナには手を出してきませんでした。

それがここ20年ほどで風向きが変わってきました。もしマリファナが合法化されるのであれば,規制当局との文書のやり取りは得意中の得意である大手タバコにとっては大きなビジネス拡大のチャンスとなります。熱い視線を送るのも無理ありません。

比較的長期間,例えば10年ぐらいのスパンで考えればタバコ+マリファナ産業というのが誕生していてもおかしくありません。焦る必要はないのでじっくりウォッチしていきたいと思います。

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