金融機関の種類(銀行=Bankと信用組合=Credit Union)

金融機関の種類

米国には様々な金融機関が存在しますが,フィンテック・スタートアップのような新興テクノロジー企業を除くと,銀行(Bank)と信用組合(Credit Union)の二種類に分類できます。

銀行と信用組合の大きな違いは,銀行が私企業であるのに対して,信用組合は非営利団体であり加入する組合員が所有します。日本で言うと,信用組合は生命保険会社や生活協同組合に近い存在です。

FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation)という米銀の預金保証機構がレポートを出していますが,2012年の時点で銀行口座を開設する資格を持たないUnderbankedな人々は各州の5%〜10%程度は存在しています。こうした信用度の低い人々や,メガバンクの口座手数料をいやがる人々,また職場の繋がりの金融機関を使いたい人々が信用金庫を選択しています。

投資家視点で言うと,金融インフラサービス企業(ファイサーブ(FISV),フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS),ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエイツ(JKHY))の業績分析には,トップ企業であるシティー・バンク(C),JPモルガン・チェース(JPM),バンク・オブ・アメリカ(BAC),ウェルズ・ファーゴ(WFC),ゴールドマン・サックス(GS)などの5大メガバンクだけではなく,草の根の金融機関の動向も含めて把握しておく必要があります。

比較

銀行(Banks) 信用組合(Credit Unions)
目的 営利団体 非営利団体
オーナー 株主 組合員
団体数 5,250行(2016年3月31日) 6,491組合(2014年)
経営 経営陣(+株主の承認) 組合員の投票
利益の使い途 株主への還元
配当や自社株買い
組合員への還元
銀行より高い預金金利と低いローン金利
口座管理手数料 あり なし or あっても低い
口座数(利用者数) 1億(全米人口3億人中,経済活動が盛んな人口の43.7%)
口座開設の敷居 高い
(マイノリティー,無職,低所得などだと口座を開設できないことも)
低い
貸し出し先 法人(融資)および個人(住宅ローン,自動車ローン,学資ローンなど) 主として個人

銀行と信用組合の手数料比較

ウェルズ・ファーゴなどの銀行と比べると,信用組合は手数料が安いのが特徴的です。

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銀行も信用組合も統廃合により数は激減

下図は米国内の商業銀行の数の推移ですが,1985年以降一貫して減り続けておりピークの半分の5,000行台に縮小しています。その間,統合による資本の集約は進んでおり,日本の状況とよく似ています。

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続いて信用組合の方ですが,こちらも右肩下がりで数が減少しています。

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リーマンショック以降,信用組合の組合員数が増加

金融危機以降,銀行の口座手数料が高いことをいやがられ,加入者が信用組合に流れています。

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サービス品質は銀行が上,信用組合は出来合いのサービス導入で対応

信用組合は銀行と比較して資産規模が小さいこともあり,サービスを自社(自組合)で開発する能力は高くありません。各組合が小規模であるためR&Dに金を投じる余裕が小さいのです。

前回の記事で触れたモバイル決済へのシフトなどについてもメガバンクが自社ブランドの「チェース・マネー」(JPモルガン・チェース)などのサービスを始めていますが,信用組合はこうした取り組みでは大幅に遅れています。

では,組合員の新しいサービス需要の高まりにどう応えているのでしょうか?

現時点では,パッケージされたサービスやプラットフォームを購入して済ませているというのが実情のようです。信用組合へシステムを納入しているトッププロバイダーはファイサーブ(FISV)のジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ(JKHY)に買収されたSymitarの2社が大きなシェアを占めています。こうした金融インフラサービス企業は“Credit Union”お客様向けのサービスを用意しておりデファクトスタンダード化していると言えます。

Top providers large CUs sourced

まとめ

米国において,信用組合は銀行と同等程度の利用者規模を誇っており,特に中流層以下には不可欠な金融機関となっています。

銀行はと言うと,富裕層をサービスの差別化により囲い込んでおり,最先端サービスの導入などテクノロジー・イノベーションに積極的です。フィンテックなどのテクノロジー企業にも投資を行い,良い物はいち早く導入してサービス向上に腐心しています。

信用組合は最先端のサービス(モバイル決済など)の導入は遅れているものの,ファイサーブやジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツなどが信用組合向けの決済パッケージを用意してくれていることから徐々に導入は進んでいると考えられます。

信用組合の強みは最先端のサービスではなく,維持費の安さや,利回りの良さ(高預金金利と低貸出金利)が中心であり,銀行と棲み分けが進んでいます。

参考:http://www.usacreditunions.com/

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