ウェストウッド・ホールディングス・グループ(WHG) 企業分析

FRBが本格的に連続利上げを行う機運が高まって来ました。利上げはマルティプル・コントラクションと呼ばれるPERの低下を引き起こすため,相場を冷やす爆弾です。

こうした逆風下では投資できるセクターが限られてくるのですが,金融セクターだけは別です。

・普通の銘柄:成長率が鈍化すれば一気にマルティプル・コントラクション(PER暴落)

・金融セクター:官(FRB)製相場に守られる。

という二分状態が続くと思います。

現在のウェルズ・ファーゴ(WFC)なんかが特にそうですが,顧客のカードを勝手に発行した不祥事の尻拭いもそこそこに,ダウの優等生に返り咲いています。ウェルズ・ファーゴというクソ企業(モラル的な意味で)でもOKなんだったら他の金融セクターも大丈夫と見て良いでしょう。

***

そんな中で小粒ながら非常に優秀な成績を上げ続けているのがウェストウッド・ホールディングス・グループです。2008年はダメでしたが,それ以外は極めて高い営業キャッシュフローを稼ぎ出しており,稼いだCFはほぼ全てがフリーCFに化けています。

10年間の平均EPS成長率が8.5%と高く,生まれたキャッシュフローは配当によって株主への還元を続けており,キャッシンングマシーンとして優秀な企業です。

判定

$55.00(2017/2/3)の水準は買い

理由:高いEPS成長率の割に株価低迷中。

企業ホームページ

Westwood Holdings Group

セクター

金融セクター

企業概要

ウェストウッド・ホールディングスは1983年創業, 2002年上場の資産運用会社です。機関投資家向け,富裕層向けの資産運用サービスを提供しています。拠点は北米のオマハ・ダラス・ヒューストンといった米国中部や欧州,日本,中国,オーストラリアにあります。コアとなる顧客基盤は北米にあると考えてよいでしょう。

運用資金は$20 Billion(200億ドル=2兆円)程度で,運用先としては米国バリュー株が38%を占めており最大,続いて新興国株が16%,その他となっています。このポートフォリオからも分かる通り,運用指針は保守的だとされています。

経営陣

CEO:ブライアン・ケイシー

規模

従業員数:168名
拠点:世界9カ国

近況

創業当時は米国ラージ・キャップ・バリュー投資専門でしたが,会社の規模が大きくなった現在は,3つの異なる投資チームを抱えています。

  1. 米国バリュー投資チーム:ダラス
  2. 世界及び新興国株投資チーム:トロント
  3. 世界優先株投資チーム:ボストン

(地域がバラバラなのは買収によって傘下に収めた企業の所在地をそのまま活用しているから。)

2012年以降は米国外の投資家の取り込みに成功しており,現在では運用資産の18.5%が米国外の顧客資金です。

whg-non-us-clients

また,買収による成長も狙っており,2014年にはヒューストンに拠点を構えるウッドウェイ(Woodway Financial Advisors)を買収しています。ウッドウェイは運用資金$1.6Billionなのでウェストウッドの資金の8%程度の規模です。すでに買収は完了しています。

収益力

売上の95%が運用する資金の規模に比例する投資顧問報酬です。その他,成功報酬に当たる収益もありますが3%弱と少なく,運用資金規模が拡大すれば売上が増えるという体質です。

whg-revenue-ratio-2015

支出に関しては従業員への給与が7割を占め,ほぼ人件費だけしかかかっていない業態である事が分かります。マーケティング費用も2%程度と,広告宣伝には力を入れずに,おそらく口コミ・人脈を生かした営業活動しかしていないと考えられます。(そもそも機関投資家向けや富裕層向けなので大々的な広告モデルは必要ないですが。)

こうした低コスト体質により,売上成長がそのまま利益につながりやすい体質になっている点は評価できます。

ITへの投資が少ないことなどから,いわゆるフィンテック的な金融サービスには非対応だと考えられますが,そもそもJPモルガン(JPM)やゴールドマンサックス(GS)とは企業体力が違うので金融テクノロジーは取り入れずに低コストな運用体質を続ける方を選んだのでしょう。

※短期的にはこういう戦略もありかと思います。ただし,身の回りの全てのテクノロジーはインターネットに接続される時代がすぐそこに来ているというのが私の考えなので,長期的には支持できません。いずれITの大規模な導入を迫られることになると思います。究極にはマネーとは情報でしかないのでフェイス・トゥー・フェイスな顧客との繋がりとは別に,IT技術導入しなければ5年後には生き残れません。

whg-expense-ratio-2015

競合状況

資産運用会社という性質上,銀行からファンドまでが競争相手で激しい競争にさらされています。現在のところ保守的な運用方針が功を奏して,上場以降13年間安定的に収益を上げているという実績が支えとなっており,海外への顧客基盤拡大が進んでいますが,買収による規模拡大や顧客ニーズに合わせた新商品の開発など変化が求められます。

評判

ウォール・ストリート・ジャーナルは,ウェストウッドの創業者スーザン・バーン氏を「過小評価されており現金が潤沢な企業を底値で拾うことで有名だ」と評しています。

割安銘柄を見つけること自体は簡単ですが,底値かどうかを見極めるには,企業業績の反転・市況の変化を見極める必要があり難しいものです。ウェストウッドは創業当時からバリュー投資で成功して来ており,バリュー投資のノウハウが優位性に繋がっているのではないでしょうか。

スーザン・バーン

ウェストウッド・ホールディングス最高投資責任者

運用資産額106億ドルのウェストウッド・ホールディングス・グループで投資を担当するスーザン・バーン氏(63)は、過小評価されており現金が潤沢な企業を底値で拾うことで有名だ。09年のような上昇局面では運用するファンドが後れをとることもある。リスクの高い企業の株価が上昇した同年、同氏のファンドは大型株の競合ファンドを16ポイント下回った。それでも、投資方針が幸いして、金融危機に際してAIG、リーマン・ブラザーズ、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)といった爆弾を避けることができた。旗艦ファンドのGAMCOウェストウッド・エクイティの長期パフォーマンスはS&P500指数を上回っている。過去15年のリターンは年8%と、市場の7%を上回った。

銘柄選定は、経済を俯瞰(ふかん)し、最も有望なセクターを決めることから始まる。最近では、この方法で、ゼロックス、ディーゼル・エンジン大手カミンズ、航空電子部品大手ハネウェルに行き着いた。景気回復ペースが遅くても好調だと見込んだ、現金が潤沢な企業だ。昨年の上昇局面では3社は出遅れたが、顧客は心配していない。

出展:世界の偉大な投資家4人 wsj

定量分析

ウェストウッド・ホールディングス・グループ定量評価

優良銘柄の条件

優良銘柄の条件 結果 判定 備考
条件3:他社と差別化できる優れた新製品を持つ なし ×
条件5:主力製品の市場が長期的に拡大し続ける余地がある 海外展開に成功。今後も開拓余地大。
条件10:売上,営業キャッシュフロー,フリーキャッシュフロー,EPSのバランスがよい 過去10年間にわたって順調に成長。美しいプロポーション。

2 thoughts on “ウェストウッド・ホールディングス・グループ(WHG) 企業分析

  • 2017年2月5日 at 7:38 PM
    Permalink

    はじめまして!
    いつも企業分析を楽しみにしています。 リクエストなのですが、個人的にエクソンモービルを保有しておりそちらの企業分析を見てみたいです。
    これからも記事を楽しみにしています!

    Reply
    • 2017年2月5日 at 10:32 PM
      Permalink

      通りすがりさん
      こんにちは。コメントありがとうございます。
      エクソン・モービル(というより”旧エクソン”)は全米各社の中でも特に異質な企業文化を持っており,
      業績云々よりも「人」「文化」の方についつい目が行ってしまいますね。
      (レックス・ティラーソン元CEO=現国務長官などもそうですが。)
      エネルギー業界は先行きが読みづらくてほとんど取り上げていませんが,
      また機会があれば記事にしたいと思います。

      Reply

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です