タロ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(TARO) 企業分析

タロ・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ(TARO)はイスラエルと北米を中心にスキンケア医薬品を製造・販売する製薬企業です。アトピー性皮膚炎の治療に使うステロイド外皮薬が主力製品です。

2013年ごろからキャッシュフローを潤沢に稼ぎ出すようになってきています。収益性に関しては文句なしと言えるでしょう。

2010年にインドのサン・ファーマが米国進出への足がかりとして買収しており,今後,完全買収なるかどうかが注目されます。

企業ホームページ

Taro Pharmaceutical Industries

セクター

ヘルスケアセクター(医薬品グループ)

定量評価

タロ・ファーマシューティカル 定量分析

企業概要

タロ・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ(TARO)は1959年にイスラエルで設立され,1961年に米国上場した比較的老舗の製薬会社です。主な拠点はイスラエル・米国・カナダにあり25カ国で200製品を販売していますが,売り上げの91%が米国,6%がカナダと,完全に北米市場に依存している企業です。近年ますます米国への依存度が高くなっています。

新薬メーカーというよりは後発医薬品メーカーであり,最終製品(医薬品)から医薬品原料まで幅広く取り扱っているのが特徴です。

  • 処方薬(“Rx”−医師が処方する薬)
  • OTC薬(“Over-the-Counter”−薬局カウンターで買える大衆医薬品)
  • 後発医薬品
  • 医薬品有効成分(”APIs- active pharmaceutical ingredients”)

製品のカテゴリーとしては,主力である外皮薬(ステロイド薬や抗真菌薬の軟膏やクリームなど)のほか,心臓血管,神経精神,利尿剤,鎮痛剤,胃腸薬,アレルギー薬などです。例えば,大衆薬では美白クリームなどを多種販売しています。2016年時点で,FDA承認待ちの薬品が36あります。

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規模

売上:9.5億ドル

売上比率:米国91%,カナダ:6%

近況

2010年9月20日にインドに本拠地を置くサン・ファーマが,タロ・ファーマシューティカルの過半数の株を買収し傘下に収めています。さらに2013年にはサン・ファーマがタロの完全買収を提案しましたが,タロ側の少数株主から拒否されており買収提案は破談に終わっています。

サン・ファーマとは?

サン・ファーマというのは,2014年に同じくインド国内で後発医薬品を製造するランバクシー・ラボラトリーズを吸収合併したことにより,現在はインド最大の製薬会社です。

2013年の状況を振り返ってみましょう。以下の棒グラフは2013年のインド市場での製薬会社の売り上げシェアを示していますが,当時は米国アボット・ラボラトリーズ(ABT)がインド市場において最大のシェアを占めていました。(アボットはインド市場に昔から入っており根強いブランド力を持っています。)このタイミングで2位サンと5位ランバクシーの合併が行われたことになります。

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※ここで出てくるランバクシー・ラボラトリーズは,日本の第一三共が2008年に買収したものの,ずさんな品質管理によって米国への禁輸措置が取られるなど,問題児と呼べる企業です。最終的に損切りという形で,第一三共がランバクシー株をサン・ファーマに売却しました。(実際のディールではランバクシー株を好調なサン・ファーマ株に交換できたので,第一三共はランバクシーで生じた減損をサン・ファーマ株売却益で穴埋めすることができました。)

この辺りのインド市場については週刊東洋経済が詳しいです。

2017年2月現在は以下のような時価総額となっており,1位サン・ファーマは2位のルピンを倍程度引き離しています。

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業績

2016年時点でグロスマージンは82%前後をキープしており高い収益力を裏付けています。

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利益率が年々改善していますが,これは2013年以降の売り上げ増によるものです。

taro_revenue_growth_2016

米国における後発医薬品シェア拡大の追い風を受け,EPS成長率は10年CAGR14%,5年CAGR17%と成長のペースが伸びています。(フリーCF成長率については7%から15%の伸びを見せています。)

市場

大衆薬・後発医薬品の世界市場規模は1700億ドル程度と言われています。

競合企業には大手が多数存在し,ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY),グラクソ・スミソクライン(GSK),ノバルティス(NVS),ファイザーなどと競合しています。

2014年時点での後発医薬品売上高第一位は,同じくイスラエルに拠点を置くテバ(TEVA)で,売り上げは91億ドルです。以下ノバルティス(NVS),アラガン(AGN),マイラン(MYL),サン・ファーマ等が続きます。タロの2016年の売上高は9.5億ドルであり,首位テバの約1/10の売り上げ規模です。

リスク

2016年11月に,米連邦検察当局が価格操作で共謀した疑いにより後発医薬品メーカー十数社に対する刑事捜査を進めていると報じられ,タロ・ファーマシューティカルも捜査対象となっています。このため,罰金や訴訟費用等の一定の損失を見込む必要があります。また,タロはテバなどと比較するとブランド力は低く価格競争に巻き込まれると利益率が伸び悩む恐れがあります。(現時点ではスキンケア製品は高収益を維持しています。)

財務と株主還元

同社は2011年以降フリーキャッシュが急増しており,2013年には増資から自社株買いに転じています。2016年は2.5億ドル程度の自社株買い買い入れを実施しています。配当はまだ出していません。ネットキャッシュ(現金+短期投資-長期借入金)は一株あたり$13.56に相当します。なお,2015年から長期借入金は0となっています。

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成長性

ここ5年のEPS成長率17%はバフェット流のリターン水準と見比べても十分に高い水準です。

バリュエーション

PERは9.85倍と低い水準で割安です。

 

最近のマーケット状況

25年チャート

 

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10年ファンダメンタル分析

10年ファンダメンタル レーダーチャート

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優良銘柄の条件

優良銘柄の条件 結果 判定 備考
条件3:他社と差別化できる優れた新製品を持つ なし × ジェネリックのため
条件5:主力製品の市場が長期的に拡大し続ける余地がある ジェネリックは拡大の見通し
条件10:売上,営業キャッシュフロー,フリーキャッシュフロー,EPSのバランスがよい 2013年以降,急激に高収益体質に改善。

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