2017年の振り返り

2017年の投資環境は過去にないほど素晴らしいものでした。今年前半はトランプの減税政策への期待による上昇,そして年後半には中国共産党大会前後より北朝鮮問題に関してトランプ・習近平のディールが成立し地政学リスクが低下したことも危機の先送りとしてマーケットから好感されました。また,トランプは様々なスキャンダルが噂されながらも減税法案を成立させ,少なくとも当初の下馬評に比べてはるかに実直に公約を実現しています。

中型株

ユニバーサル・ディスプレイ(OLED),マイクロン・テクノロジー(MU),インテューイティブ・サージカル(ISRG)などの高成長中型株のパフォーマンスは素晴らしいものでした。市場平均を圧倒的にアウトパフフォームする急上昇でしたのでうまく乗れた方は大儲けできたことでしょう。

ユニバーサル・ディスプレイ(OLED)

まず,ユニバーサル・ディスプレイに関してですが,有機ELは今が旬のiPhoneX(有機EL搭載した初のiPhone)やサムスンのギャラクシーシリーズ,そして中国製スマフォで採用が相次いでおり,NAND(SSDをはじめとする不揮発メモリー)とともに今年の大きなテーマである「半導体」の中でも抜群に輝いていました。

ユニバーサル・ディスプレイは有機ELという半導体素子のうちリン光材料を提供している素材メーカーなので半導体メーカーとは違いますが,それでも爆発的なリン光材料の売り上げ増とライセンス料の伸びが今年の成長の原動力となっています。

マイクロン・テクノロジー(MU)

マイクロンはHDDからSSDへという大きな流れの中でNAND価格の高騰と需要増の追い風を受けて今年のNasdaq100銘柄の中でもハイパフォーマンスを記録した銘柄の一つです。今年のような相場では市況株がもっとも儲かります。昨年のnVidia(NVDA)もそうですが,今年はマイクロンの年と言っていいでしょう。

インテューイティブ・サージカル(ISRG)

インテューイティブ・サージカルは,以前より手術機器メーカーとしてオンリーワンに近いポジションを築いている企業でしたが,地道にダヴィンチの売り上げを伸ばしている印象です。売り上げ増・EPS増は(バフェット流の基準からすると)魅力的ではないのですが,競合不在というのが安心材料です。安心ならPERは上がるという鉄則で,今年も堅調でした。

中国株

また,アリババ(BABA),テンセント,YY(YY)などの中国株の復活も今年の大きなテーマの一つです。昨年の2016年初頭は,中国景気の後退予測があちこちで聞かれ,中国株のサーキットブレーカーが働くなど,ありえないほどボラティリティーの高い時期が続きました。しかし,そうした不安をよそに,結局のところ中国大陸の「壁」に囲まれた10億人市場を牛耳る巨大企業は全て大幅な売り上げ増と利益増を記録しています。それも単なる規模の拡大ではなく,世界最先端レベルでIT技術が高まっている点が従来の中国の拡大成長路線とは異なる点です。

アリババ(BABA)

春山昇華氏が信用資本主義と表現されていますが,中国ではアリババのAliPay,テンセントのWeChatPayでの決済が爆発的に普及しており,世界最先端のキャッシュレス経済になりました。その結果,あらゆる個人情報や与信情報がアリババやテンセントに集約されつつあります。

結局のところ,中国は「万民がITで格付けされることでオープンに信用しあえる」社会になりつつあります。
ここでいう格付けとは,「アリババなどの購買履歴,滞納履歴といった財政面での格付け」,「テンセントやYYなどのSNSでの人付き合いから分かる人脈という面での格付け」を含み,科挙の時代からの伝統である学歴による格付けに加えて,より多面的に人物の信頼度を評価するようになったということを意味しています。

株の銘柄選びのように人民を様々な指標でスクリーニングすると聞くと,一見するとギスギスした社会のように思えますが,実態はその逆です。AliPay,WeChatPayへの信頼の高さは,中国がもともと抱えている,相互不信(家族であっても信じるな)という社会へのアンチテーゼであり,他人を信用できないことで経済が滞るという取引上の潜在的な問題を,ジャック・マーが見事に解決して見せた一例です。

今後は,中国人は付き合う人や顧客をアリババ・テンセントを経由してスクリーニングし,その結果,今まで疑心暗鬼でギスギスしていた面が解きほぐされて経済活動はより活発になっていくでしょう。それも,むしろ対面販売よりも,アリババ経由の方が「確実に相手の懐具合が分かる・確実に商品が届く」という意味で,アマゾン効果(アマゾンで買い物するようになったことで,アメリカ人が街中に行かなくなり中心街が廃れた現象のこと)のさらに強烈な社会変化が中国に訪れます。言わば,アリババ・エフェクトです。

単なる利便性であればアリババ以外でも提供できたはずですが,信頼できる取引・信頼できる決済システムを同時に提供できたことがアリババの優位性の秘訣であり,今後もワイドモートは崩れないでしょう。

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