ディア・アンド・カンパニー(DE) 企業分析

ウォーレン・バフェットも保有している農業関連銘柄ディア・アンド・カンパニー(DE)について紹介します。農業関連と言えば,種子ビジネスのデュポン(DD),モンサント(MON)や穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)などが思い浮かびますが,どれも昨今の穀物価格値下がりで業績が押し下げられています。

エネルギー関連株や素材株と同じで,農業関連株も市況に反応しやすく,5~10年周期で株価が5倍になったと思えば1/3まで下落したりと言うことが当たり前のように起きます。

このジェットコースター相場を受け入れられる下げに強い投資家でなければ,こうした市況株は手を出さないか,市況が下がったときに買うタイミング投資の方が適しています。バイ・アンド・ホールドの長期投資は向きません。

といっても,農業関連株の長期的なリターンが低いという意味ではなく,タイミング投資の方が旨みがあるという意味です。値動きが小さく,いつ買っても大差ない安心の公益セクターや生活必需品セクターとは真逆ですね。公益セクターや生活必需品セクターは,早く買ってひたすら持つのが良いです。(その分,「安心プレミアム」という名の保険に強制加入させられて,PERが高めですが。)

企業ホームページ

Deere & Company

セクター

資本財・サービスセクター(農業・建設機械)

企業概要

ディア・アンド・カンパニー(DE)は,世界市場の4割を占める北米最大級の農業機械メーカーです。コンバインやトラクターを中心にフォークリフト,ブルドーザー等の土木林業用車両や芝刈り機を製造しています。

日本ではヤンマーが輸入販売しています。

リバース・イノベーション』という書籍では,ディアは強固なブランドを築きつつも,インドのマヒンドラの低価格トラクターの攻勢によって徐々に市場シェアを奪われていく様が描かれています。要は,低価格市場では新興国メーカーなどが伸びてきており苦戦していると言うことが言えます。

市況の悪化と競争の激化といった苦境を乗り切ることができるかどうかが注目のメーカーです。

経営陣

CEO:サミュエル・アレン

規模

従業員数:57180
地域別売上:北米が売上高の7割を占めており,その他地域は3割程度です。

近況

農業・芝刈り機部門の売上は2015年はYoYで-25%の減少となりました。2016年通期でもYoYで-6%の減少が見込まれています。

建設・林業用機械部門の売上は2015年はYoYで-9%の減少でした。2016年は,YoYで-5%の減少が見込まれます。

ここ最近は設備投資は絞り込んでいますが,R&D投資は減らしていません。これは農業部門にも省エネ化やスマート化の波が押し寄せており,他社との競合上新製品開発を遅らせるわけにはいかないためだと考えられます。

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セグメント

セグメント別だと,基本的に農業・芝刈り機部門が売上の8割を占めており最重要分野であることが分かります。ファイナンス部門は市況の影響をあまり受けませんが,いかんせん比率が低く留まっています。

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セグメント別の営業利益で言うとやはり農業部門が圧倒的に稼ぎの中心です。ただし,景況に依存しているため,農業部門の営業利益は2013年から2015年で半減してしまっています。

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地域別

地域別売上だと北米の下がり幅が大きいですが,その他地域(ブラジルなど)も売上高を大きく落としています。これはドル高の影響もあります。

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営業利益は2013年には北米が8割程度を稼ぎ出しており,農業市況が好況な時期は北米での売上が急進し営業利益ががっぽり入るという構造になっています。一方,北米以外の地域は農業市況が好況でも,利益の伸びは大きくありません。利益構造という意味では北米にべったり依存していると考えて良いですね。

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市場

穀物市況

2013年に穀物市況はピークを付けています。農家が受け取る手取りに相当する穀物価格は,ここ2年で3割下落しており,2016年頃に大底を迎えて徐々に回復すると予想されています。まあ,往々にして予想は裏切られるものですが。

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競合状況

インドのマヒンドラ&マヒンドラ(M&M)などが新興国のみならず先進国にも進出しており,競争は激化しています。米企業ではアグコ・コーポレーション(AGCO)など。

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シナリオ(SWOT)

機会 脅威
強み  ドル安(農家にとって穀物価格の上昇)

穀物市況の回復

原油価格の低迷(燃料費のコストダウン)

弱み 穀物市況の低迷

原油価格の高騰(燃料費高騰)

 

最近のマーケット状況

25年チャート

穀物価格の市況チャートに連動しており,2008年までの大きな好況期には株価が7倍に上昇しました。その後,1年で株価は$78から$21まで-75%の大幅下落しています。

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5年チャート

ここ5年間保ち合いが続いています。業績が悪化している割には株価は崩されていません。

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日足チャート

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先四半期のキャッシュフロー

特に自社株買いを積極的にやる会社なのですが,さすがに昨今はそんな余裕もなくなっています。今は出銭を極力減らしている状況です。

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10年ファンダメンタル分析

10年ファンダメンタル レーダーチャート

業績の乱高下のため,あまり5年,10年単位の経営成績を見ても意味がないのですが,あえて考察するなら収益性はしっかりと確保した保守的な経営ができていると思います。グロスマージンは平均30%で推移しています。ただし,営業CFマージンは平均10%を割っており,市況がよいときにキャッシュを貯め込み,市況が悪い時期には細々と過ごす感じですね。

自社株買いは10年平均で3.3%,ここ5年平均だと4.5%と高めです。配当も年率10%程度の増配を続けています。現在の配当利回りは2.9%でここ10年では高めの方です。

財務は自社株買いにより自己資本比率が低いのが欠点ですが,流動資産は十分にあり特に問題ありません。

10年ファンダメンタル 得点表

5年平均 5年スコア 10年平均 10年スコア
配当株総合評価 265 299
グロース株総合評価 非該当 非該当
グロスマージン(粗利率) 30.9% 24 31.1% 24
営業キャッシュフローマージン 8.6% 0 8.6% 0
株主資本利益率(ROE)平均値(Net Income/Equity) 41.3% 20 31.4% 20
有機的成長率(ROE x 内部留保率) 32.1% 12 21.5% 9
無機的成長率(BPS成長率) 7.8% 2 4.0% 0
収益力評価 58 53
営業キャッシュフロー増加率 10.0% 20 14.4% 30
フリーキャッシュフロー増加率 7.2% 24 16.0% 32
EPS増加率 -2.7% 0 4.9% 14
成長力評価 44 76
自己資本比率平均値 14.1% 10 14.7% 10
流動比率(流動資産/流動負債) 206.8% 40 207.8% 40
クレジット格付け 15 15 15 15
財務健全性評価 65 65
平均配当利回り 2.5% 21 2.4% 21
自社株買い利回り 4.5% 16 3.3% 16
配当金増加率 9.6% 21 11.9% 28
配当性向(増配余地) 23.5% 0 23.5% 0
株主還元評価 58 65
ブランド力 4 0 4 0
エコノミック・モート Wide 40 Wide 40
定性的評価 40 40
機関投資家比率 74.0% 4 74.0% 4
機関投資家の売買動向 -3.2% 2 -3.2% 2
インサイダーの売買動向 -0.3% 6 -0.3% 6
現在の株価 78.7% 12 78.7% 12
現在のPER(Forward) 20.29 4 20.29 4
現在の配当利回り 2.9% 12 2.9% 12
(配当+自社株買い)利回り 7.2% 16 5.9% 12
疑似債権成長率 24.2% 4 24.2% 4
直近株価評価 60 56

10年分析グラフ

今後の予想を見ても売上が回復するにはあと2年ぐらいはかかりそうです。

ただ,株価は期待で買われるものなので,業績の回復よりも早く上がり始めます。穀物市況を確認しながらウォッチする感じですね。

CF的には,農業分野にIT化の波が押し寄せていることもあって研究開発に多額の投資CFが必要とされています。そのため,フリーCFはそんなに稼げない体質だということを念頭に置いておく必要があります。

de-10yr-analysis

優良銘柄の条件

優良銘柄の条件 結果 判定 備考
条件3:他社と差別化できる優れた新製品を持つ ブランドは強固。ただし,技術革新が求められており,維持するには研究開発投資が必要。
条件5:主力製品の市場が長期的に拡大し続ける余地がある 市況次第だが,乱高下を除けば穀物市場全体は拡大余地あり。
条件10:売上,営業キャッシュフロー,フリーキャッシュフロー,EPSのバランスがよい 営業CFマージン低い。
景気の影響で利益率が低迷することもあり。
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