カー・オークション・サービス(KAR) 企業分析

カーオークションの仲介事業を営むカー・オークション・サービシズを紹介します。

オークションの模様はYoutubeの動画で見られますが,とにかく広大な敷地に車を並べて右から左に流しているような感じです。ディーラーとディーラーの仲介なのでコストもリスクも低いビジネスモデルであり,また,業界が寡占構造であることから景気変動による市場規模の伸び縮みがそのまま業績に反映されるように見えます。

企業ホームページ

KAR auction services

セクター

資本財・サービスセクター

企業概要

カー・オークション・サービシズは北米および英国で車両のオークションサービスを展開する大手持ち株会社です。カー・オークション・サービシズという持ち株会社になったのは2006年ですが,傘下企業の沿革はややこしいです。1989年よりオークション業を行うADESAと1982年より廃車ビジネスを行うIAAが提携し,持ち株会社KARが誕生したという流れのようです。

カー・オークション・サービシズが現在提供している事業内容は,車のオークション,検査,保管,輸送,再調整などのサービスです。

取り扱っているのは中古車(whole car)および事故などで廃車になった車(salvage vehicle)です。2015年には440万台の中古車および廃車を販売しました。カー・オークション・サービシズの売上は,車の売り手・買い手の双方から得られる手数料および,各種サービス料(検査・保管・輸送・調整・書類手続き・ファイナンスなど。)です。

カー・オークション・サービシズ自身は仲介を担当しており,車を買い入れて転売するようなことはしていません。

 

経営陣

CEO:ジェームズ・ハレット(2009年〜)

規模

従業員数:14400名
(米国11000名,カナダ・メキシコ・英国3400名)
拠点:237オークションサイト
(北米:66の中古車オークションサイト,171の廃車オークションサイト,英国:10オークションサイト)
地域別売上:米国が8割を占めます。米国は景気回復に伴って売上が伸びていますが,米国外での売上は横ばいです。

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セグメント

カー・オークション・サービシズは3つの子会社からなっています。

事業 売上に占める割合
ADESA Auctions 中古車オークション 52%
IAA 廃車オークション 38%
AFC ファイナンス 10%

1.ADESA Auctions

ADESAは北米で2番手の中古車オークション会社です。取り扱っているのは,リース切れの車両やレンタカーなど法人が所有する車やメーカーが下取りした車などです。(seller側)

buyer側は法人や中古車ディーラーなどです。

seller/buyerのどちらも法人というケースが多いようです。

事業内容は,オークション開催,輸送,修理,検査,タイトル(車両データベースへの登録),などです。

IAA

IAAは北米の廃車オークション大手です。2015年7月にHBCという英国の廃車オークション企業を買収しました。

顧客(buyer)は主に保険会社,NPO,自動車ディーラー,リース・レンタカー会社などです。

事業内容はオークション,破損率の評価,タイトル(データベースへの登録),検査,輸送など。

AFC

中古車ディーラー向けのファイナンス事業を行っています。基本的に長期のローンではなく,短期の資金融通となっています。

セグメント別の売上・営業利益

中古車オークションが2008年からの景気後退の影響を受けて2008円〜2011年まで伸び悩む中,廃車オークションIAAの成長率は高い成長率が続いています。また,ファイナンス事業であるAFCも同じく高成長が続いています。

kar-revenue-segment2008年はファイナンス事業AFCが大きな営業赤字を記録しましたが,その後は立て直っています。営業利益で言うと,3部門ADESA,IAA,AFCはほぼ同規模の利益をたたき出しています。

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営業利益率で言うとファイナンスのAFCが圧倒的に高い利益率を誇ります。ディーラーのための短期融資が中心でありローリスク・高回転率であることが背景にあると思われます。一方,手数料ビジネスであるオークション業務は営業利益率は15%前後と高くありません。輸送コストの削減などに取り組んで費用圧縮しようとはしていますが,仲介業務であるためマージンを伸ばすことは難しいと思います。

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市場

1.中古車市場

中古車の流通量は基本的には新車販売台数に応じて増減します。昨今の新車販売台数は2009年以降年率10%弱のペースで増えていることから,中古車市場についても成長が見込まれます。

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また,中古車の流通量の変動率は新車に比べると小さいです。不況の時でも-20%程度の減少幅であり,新車販売台数が-50%ぐらい落ち込むのと比べると安定しています。

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2.廃車市場

廃車流通量は事故率および走行距離に影響を受けなかなかはっきりした見通しは立てづらいです。

 

競合状況

北米の車両オークション市場は上位2社でほぼ寡占されています。

中古車オークション市場最大の競合はCox Enterprise傘下のManheimです。そのほかの競合としては,OVE.comやSmartAuctionなどがあります。

廃車オークション市場の競合としては,Copart,Cox Enterprise傘下のTotal Resource Auctionsなどです。

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シナリオ(SWOT)

機会 脅威
強み  中古車流通量の増加
事故率の上昇(廃車)
弱み 中古車流通量の減少

 

最近のマーケット状況

25年チャート

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5年チャート

2015年以降は保ち合いが続いています。

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日足チャート

2016年5月の決算が良かったことからついに$40の抵抗線をブレイクアウトしました。その後,やや調整していますが,上昇基調です。

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先四半期のキャッシュフロー

配当を出すようになって5年ほど経っています。

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10年ファンダメンタル分析

10年ファンダメンタル レーダーチャート

景気回復に合わせて3事業分やそれぞれが成長路線を取り戻しており,成長力は抜群です。ただし,収益力という意味では仲介業であるため営業CFマージンはあまり高くありません。

一方,配当利回りは3%とここ数年は株主還元を意識した経営にシフトしています。

10年ファンダメンタル 得点表

5年平均 5年スコア 10年平均 10年スコア
配当株総合評価 200 186
グロース株総合評価 非該当 非該当
グロスマージン(粗利率) 44.2% 32 43.3% 32
営業キャッシュフローマージン 18.0% 7 15.5% 7
株主資本利益率(ROE)平均値(Net Income/Equity) 6.6% 0 5.1% 0
有機的成長率(ROE x 内部留保率) 4.2% 0 1.3% 0
無機的成長率(BPS成長率) 0.7% 0 1.6% 0
収益力評価 39 39
営業キャッシュフロー増加率 9.2% 20 17.2% 40
フリーキャッシュフロー増加率 9.1% 24 25.9% 32
EPS増加率 23.8% 28 -100.0% 0
成長力評価 72 72
自己資本比率平均値 28.9% 20 27.2% 20
流動比率(流動資産/流動負債) 122.9% 20 127.3% 20
クレジット格付け 0 0 0 0
財務健全性評価 40 40
平均配当利回り 3.0% 21 0.0% 7
自社株買い利回り -0.6% 0 -2.9% 0
配当金増加率 41.6% 28 19.0% 28
配当性向(増配余地) 71.4% 0 0.0% 0
株主還元評価 49 35
ブランド力 0 0 0 0
エコノミック・モート None 0 None 0
定性的評価 0 0
機関投資家比率 101.0% 8 101.0% 8
機関投資家の売買動向 -11.7% 0 -11.7% 0
インサイダーの売買動向 -58.7% 0 -58.7% 0
現在の株価 255.3% 0 255.3% 0
現在のPER(Forward) 16.39 8 16.39 8
現在の配当利回り 3.0% 12 3.0% 12
(配当+自社株買い)利回り 2.2% 8 0.0% 4
疑似債権成長率 1.7% 4 1.7% 4
直近株価評価 40 36

10年分析グラフ

仲介業主体であり,在庫を抱えないビジネスモデルなので投資CFはあまり必要ありません。売上が伸びればフリーCFが伸びるという分かりやすい収益体質です。ただし,景気後退の影響は受けやすいので注意が必要です。

ここ数年,株価は上昇していますが,PERはForwardで16倍と落ち着いた水準で推移しています。

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優良銘柄の条件

優良銘柄の条件 結果 判定 備考
条件3:他社と差別化できる優れた新製品を持つ 自社製品は特にない。 ×
条件5:主力製品の市場が長期的に拡大し続ける余地がある 中古車流通量は景気循環に合わせて増減する。 ×
条件10:売上,営業キャッシュフロー,フリーキャッシュフロー,EPSのバランスがよい 景気応対期に利益が出ない。 ×

One thought on “カー・オークション・サービス(KAR) 企業分析

  • 2016年5月9日 at 8:57 AM
    Permalink

    この会社は知らなかったので、また参考にさせていただきました。

    以前、カーマックス(KMX)というオークション会社を調べたことがあります。
    この会社は、オークションという点では同じですが、ディーラー間の仲介であるKARと違って、自社買取による小売りと卸売りなので少し違いがあります。
    KMXのオークションはヤマダ電機のように消費者間では最安値であることが知られており、狭い利ザヤの中でも堅実に利益を上げるビジネスモデルで、車のヤマダ電機、または、ウォルマートのような感じだと思います。

    そして、KMXもKARと同様ファイナンス事業も行っています。
    すなわち、車を現金で買えない顧客のためのファイナンスも行っています。

    ただ、ファイナンスという与信事業があると、リーマンショックのようなクレジットクランチが起きると、株価は暴落します。株価は1/4くらいになったと思いますが、恐らく与信事業というコントロール不能のブラックボックスに対して貸倒などの恐怖を抱いた投資家が安全域を超えて売り込んだのだと思います。
    KARはディーラー間の仲介で与信事業の割合もそれほど多くはないし、上場がリーマンショック後なのでKMXと一概に比較はできないですが、バリューチェーンの中に与信事業があると危機時に外部の影響を受けやすいというのは似たような構造かもしれません。
    同様に、サザビーズ(BID)という老舗オークション会社も与信事業を行っていますが、ここもリーマンショックで株価が1/8くらいになったと思います。

    ただ、リーマンショック後の底値から、KMXはリーマンショック前の高値を更新し9倍騰くらいしているし、BIDもリーマンショック前の高値まで戻しています。
    なので、KARについては同じオークション事業及びファイナンス事業ながら、KMXやBIDよりもクレジットクランチの影響は少ないかもしれないし株価の戻りも早いかもしれないと思い、売り込まれた時に買うのがリスクの割にリターンが大きい気がしています。
    なので、ウォッチリストに追加いたしました、いろいろ参考にさせていただいておりますので恐縮です。

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