クラウドと個人顧客

前回の記事でも書いたように私は『乗り遅れ組の企業』と『個人』が大きなクラウドの主戦場になると見ます。企業の話は前回書いたので,今回は個人について見ていきます。

個人向けクラウドという意味で1位は文句なしにグーグルで,2位がアップルのiTunes Cloudです。

グーグルのクラウドとはGmailをはじめとする多様なサービス群であり,エンドユーザー数は10億人に上るとされています。(#最近,私のサイトでもバフェット流企業分析シートマーケット指標などのページでGoogle Apps Scriptを活用するようになりましたが,これらもPaaSに含まれます。)

次いで,アップルはiPhone,iPad,Macといたハードウェアとバンドルする形でiTunes Cloudを普及させました。エンドユーザー数は7億8200万人だと言われます。

両社ともFacebookと並ぶ『人口大国』です。

収益化の課題

しかしながら,利用者の規模の巨大さに対して,大きな欠点があります。それは個人向けクラウドサービスには収益化モデルが欠如していることです。

日本でクラウドストレージサービスの市場規模を調べた記事(ICT総研)がありますが,

  • 個人向けクラウドストレージの利用者は2016年度で3,907万人、市場規模は616億円
  • クラウドストレージ有料サービス利用率は10.6%、無料サービスを含めると約4割が利用

ということで,有料サービス利用者に限ってみても平均日額50円(年15,000円)とわずかなものです。消費者はコストとメリットに敏感なので,市場がなかなか立ち上がっていません。

収益化の可能性

では,個人向けクラウドサービスに強力なマネタイズのアイデアは出てくるのでしょうか?たとえば,グーグルが検索サービスという儲からない事業を広告宣伝プロバイダーという金のなる木に化けさせたような。

私はその可能性の芽をアマゾンやグーグルに感じています。

ロングテール

 

アマゾンがレア商品というロングテール商法で莫大な収益を上げているのを皆さんもご存じだと思いますが,そのロングテール商法の延長線上にあるのがKindle Unlimited読み放題サービス(日額30円)だと思います。

いくら貧乏な人でも娯楽や暇つぶしは必要なので,一日100円程度であれば気軽に支出します。Kindle Unlimitedで人気の商品は,漫画や雑誌と言った「買うほどでもない」「溜まったら処分に困る」ようなものに偏っています。

従来は書籍というものは「蔵書を所有する喜び」を分かる読書階級の嗜みでしたが,逆に言えば,「ものを持ちたくない生活・ミニマリスト」を指向する人々の敵だったわけです。そうした「本を所有することを敵」だと見なす人々が,こぞってKindle Unlimitedに飛びついています。所有しない気楽さを提供する戦略です。これぞクラウドという感じですね。

こうした従来とは真逆の顧客層に金を払わせるあたり,アマゾンが顧客心理をよく研究しているなと感心させられるポイントです。

これが1つめのクラウドサービスの方向性で,「所有しないで楽しむ」ために金を払わせるサービスです。

生活の自動化

かつて高度経済成長期より前には,主婦は掃除・洗濯・炊事などの家事を全て手作業で行っていました。いまやそれらの仕事は,機械に置き換わっています。

これが私の言う『自動化』です。

洗濯機や炊飯器の事例は動力を自動化しただけですが,今後起きると思っているのは,情報を整理する作業の自動化です。

いま,私たちが日常作業で頭の中で処理している情報には何があるでしょうか?

たとえば,

  • 今日の夕食の献立をどうするか=>クックパッドを見る
  • 今月の家計簿の収支はどうか=>エクセルに記帳して計算する
  • 今月の投資成績はどうか=>証券会社にログインする

など。雑多ですね。無駄ですね。毎日やっている作業なのに。

もちろん,大半が無意識にやっている作業ですが,こうした雑多な情報処理は時間が取られますし,もっと高度な思索にふけりたいときには邪魔な作業です。

企業であれば,こうしたルーティン作業は整理され,業務の中で自動化されます。(#手入力とか繰り返し作業とかは真っ先に自動化の対象です。)

しかし,家庭にはこうした『自動化』が全然普及していません。私がグーグルに着目するのは,こうした日常的な些細なルーティン作業を自動化してくれる可能性を感じるからです。

私はグーグルのサービスをあれこれ触ってみて,利用価値の高さに対して,導入障壁がかなり低いと感じました。今後,家計簿とか投資成績とか含めてさまざまな情報処理の自動化が出来るなと,アイデアを練っているところです。

世の中の人がこうした『生活の中での情報処理の自動化』に着目すれば,個人向けクラウドサービスが一気に市場が花開くと思います。なぜなら,自動化=時間を手に入れることであり,時間こそ現代生活でもっとも貴重な資源だからです。(#自動化して余暇時間を作って,Kindle Unlimitedで贅沢に暇を潰す。)

これが2点目の個人向けクラウドのマネタイズ案です。

ロハストレンド,シンプルライフトレンドと同じような感じで,『自動化生活で豊かな暮らしを』的な潮流が来るのを待ちたいと思います。

 

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