セラニーズ(CE) 2015Q4決算

業績相場か?

FRBが2015年12月15日のFOMCにて0.25%の利上げを行いましたが,その判断の根拠はインフレ率,賃金上昇率,失業率の好転です。逆に言えば,FRBは製造業部門の指数を見て景気回復と判断したわけではありません。(その根拠として,米国のGDPのうち製造業は13%程度に過ぎないためですが。)

「FRBの定義する好景気」がどの程度,設備投資などを喚起する本格的な好景気なのかを判断するため,景気循環株の中でも業績相場になると真っ先に反応しやすい素材セクターに注目しています。

さて,セラニーズの今期決算はといいますと,原油安+ドル高が重荷となり売上は大幅なマイナス,利益は(上流部門の穴を下流部門が埋める形で)なんとかコンセンサスを堅守といったところです。また,Earnings Callの質疑応答の中で,中国への輸出量が2〜3年前の約半分に減っていることが示唆されました。これまで世界経済の成長のエンジンだった中国経済が足を引っ張る格好です。

ただ,2016年初頭の時点で業績に影響する悪材料(ドル高,原油安,中国景気後退)は出尽くしており,2016年代に四半期以降回復するとの見通しも示されました。

結論としては,「2016年に①ドル高,②原油安,③中国景気後退の三重苦が底打ちするか?」が注目ポイントです。

今後も石油化学カテゴリーのライオンデルバセル(LYB)やダウケミカル(DOW),デュポン(DD)などほかの銘柄をチェックする予定です。

企業概要

セラニーズは酢酸ビニルや高機能プラスティック(ポリアセタール,液晶ポリマー,超高分子ポリエチレン,PPS樹脂など)を製造する石油化学製品メーカーです。世界最大規模の酢酸製造プラントを保有しています。

決算日

2016年1月21日

決算資料

Celanese 2015Q4

決算概要

 2015Q4決算数字

コンセンサス 結果 サプライズ(%) 評価
EPS($) $1.24 $1.25 +0.8%
今期売上高($) $1.36B $1.33B -2.2% ×
前年同期比
売上高成長率(%)
YoY -14.43% ×
来期EPSガイダンス($)  $5.75 $5.70-$6.00 +約1.7  ○

 2015通年決算数字

コンセンサス 結果 サプライズ(%) 評価
EPS($) $6.04 $6.02 -0.3% ×
前年同期比
EPS成長率(%)
YoY +6.1%
今期売上高($) $5.71B $5.67B -0.7% ×
前年同期比
売上高成長率(%)
YoY -16.58% ×
純利益率(%) (2014年通年)
18.6%
21.8% YoY +3.2%

 2015通年サマリー

・売上高がYoYで16.58%減少しました。
・売上減少理由の内訳は以下の通り。原油価格下落による製品価格下落とドル高が厳しかったですね。
1) 販売量減少:-3%,
2) 価格下落:-8%,
3) ドル高:-6%
・2016年通年のガイダンスEPSは$5.75のコンセンサスに対して,$5.70-$6.00(前回の会社側ガイダンスは$5.60-$5.90なので+$0.10の引き上げ)でした。

■高機能素材部門(下流部門に相当)
・高機能素材部門の純利益率は2014年:30.1% から 2015年:35.2%へと+5.1%上昇しました。
・原材料部門に比べ,高機能素材(ポリマー等)部門の価格下落は-2%と小幅にとどまっています。

・高機能素材部門の売上は2014年:$2,6Bから2015年:$2.3Bへと-0.3B減少しました。この売上減少は,主として顧客の在庫削減の影響で販売量が減少したことによるものです。
■酢酸関連部門(上流部門に相当)・酢酸関連部門の純利益率は,2014年と変わらず14.2%でした。
・酢酸関連部門の売上は,2014年:$4.3Bから2015年:3.5Bへと-0.8Bの大幅減少となっています。
売上減少の主な要因は,価格下落によるものです。

その他ハイライト

以下のニュースにある通り,高機能樹脂のラインナップを拡充する予定のようですね。酢酸関連部門はコモディティであるため原油安の影響・ドル高の影響をもろに受けて昨年以降売上が大幅減となっていますが,高機能素材部門は売上は減少しているものの,減少幅は小幅にとどまっています。

・2015年Q2に,PEEK樹脂(耐薬品製の高い高機能樹脂)の販売を開始予定です。
・駆動部での使用に耐える摺動部用製品ラインナップを立ち上げる予定です。駆動部向けの高機能素材は高成長が期待されている市場です。

フリーCFは順調に増加

売上減少により営業CFは減少していますが,フリーCFは2015年通期でもYoY +2.2%のプラスでした。フリーCF/売上も年々上昇し,2015年は9.8%となりました。素材セクターの中では優秀だと思います。
また,投資CFは2015年は$306Mでしたが,2016年は同等かやや下回る程度の$250M-$300Mを提示しています。

celanese-2015q4-freeCF

株主還元

・業績が回復した2012年以降,配当・自社株買い共に増額しています。
・2015年は全株式の4.3%相当を自社株買い戻ししました。($420M相当)
・2015年は$174Mを配当として還元しました。YoYで+21%の増配です。
・配当性向は20%であり,増配余地は十分にあります。

celanese-2015q4-return

質疑応答

Q1:2〜3年間は売上が減少すると想定しておいた方がよいですか,それとも近い将来売上減少に歯止めがかかり底打ちすると考えて良いですか?

A1:不確実な要素はいくつかありますが,最も大きな懸念は「中国がどれだけ輸入するか」です。数年前は中国は約12万トン輸入していましたが,昨年は5万トン〜6万トンまで輸入量が減少しました。今年どうなるか確実なことは言えませんが,会社側としては中国の輸入量が減少する可能性も想定しています。

中国景気が底打ちすれば素材市況は安定し,好転すると思います。

Q2:下流部門(高機能素材)では価格下落を免れたという説明ですが,単にリードタイムラグによってまだ下落が生じていないだけとも考えられます。今後1年間にわたって高機能素材部門の価格を維持できますか?

A2:ドル高や価格下落などのデフレ要素の多くは,2015年は既に起きてしまったことであり,2016年第1四半期にはデフレ要素は安定化していくと考えています。2016年第二四半期以降は回復しはじめるでしょう。

 

 

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